龍のナミダ Ⅰ 【完】

新しい生活 /戸惑い



平和な日々が続く毎日。


紗羅は平凡で平穏な高校生活を送っていた。



放課後になり、帰る準備をしていると廊下が騒がしい。


悲鳴というか、歓声というか、入学当初に綺羅が来たときみたいな…



声のする方へ視線を投げかけると、やっぱりあの時と同じ様な人だかり。


でも最近は綺羅のキラキラオーラにも慣れたのか、歓声は上がるものの人が集まってくる事は無くなって来ていた。


それが何故?


紗羅が目を凝らして見た先には―――



隼人がいた。



キャーキャーと騒がれて、煩いのか眉間に皺を寄せて不機嫌そうだ。


でも、そんな表情も格好良い。


周りに群がる女子生徒達には目もくれず、スタスタと紗羅の前まで歩いて来ると、


「行くぞ」と呟いた。



『…え?綺羅は?』



今までずっと学校の行き帰りや、買い物にはいつも綺羅が付き添ってくれていたし、


綺羅が生徒会の仕事で忙しいときは充と夏樹が代わりに家まで送ってくれていた。


周りを見回しても、さっきまで居た充と夏樹が居ない。


『どうして隼人さんが…?』


思わず出た言葉。


その言葉にピクリと隼人は肩眉を上げたが、紗羅の鞄を掴むと


「行くぞ」


と言って踵を返して歩き出した。



『あ…ちょっと!』



鞄を取られた紗羅は慌てて隼人の後を追いかけた。







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