龍のナミダ Ⅲ 【完】

明かす覚悟 /苦悩

※※ 紗羅Side ※※


「迅?さっきから携帯が鳴ってますが…」

遠慮がちに爽に声を掛けられて初めて、自分の携帯が小さく震えている事に気付く。



『…はい。』

聞こえてくるのは、彼よりも低い声。

キュッと胸が締め付けられるのは、歓喜のせいなのか罪悪感からか。



『分かった…すぐ行く。』


短い通話を終わらせると、余計な思考を振り切る様に 目の前のミネラルウォーターを一気に飲み干した。


『帰る。』

そう言って立ち上がると


「明日から迎えに行きますね。」

優しげに微笑む顔が…黒い。



もう…風はコソコソしない。

だから私にも腹を括れと…そう言っている。



『ハァ…せめて車にして。』

溜息混じりにお願いすると


「何だ、残念ですね。」

楽しそうに笑って手を振った。


バイクで何て冗談じゃない!と言うのを我慢し、

軽く手を挙げ、爽に応えた。








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