LICEnse 中 【完】

hue-05 /笑ったのは、誰







「お前ら動くな!」


いきなりの大きな声に反応してその音源を探す。その場にいた奴らの動きが一時停止した。そこを見つけるのに時間が掛かるほど遠くなかった。だってさっきまでずっと気を張って気にしていた場所だったから。

信じたくない光景に一瞬行動が止まる。



「っ、夏菜!」

「莉丘チャンまで・・・っ」


夏菜と友だちの莉丘がそれぞれ男共に拘束されている。

外見はどこも変わったとこがないってことは、少なくとも怪我はしてない。それにひとまず安心する。だけど、不安は一向に止まなかった。


「これかよ、お前が言ってたことって」

「・・・さあ」


無表情でしらける茶髪。

くそ、胸糞わりいな。よりにもよって1番恐れていたことが起こるなんて。


「チッ」


最悪だな。これじゃ手も出せないし行動も起こせない。完全にこっちが不利な状況だ。

これだけは避けたかったんだけど。


その場いったいが静寂に包まれる。変な緊張感から冷や汗が出た。実際はそんなに経っていないのかもしれないけど、随分長いことそうしていたように感じる。

嫌な空気だった。



「変なマネすんなよ?」

「抵抗したらどうなるか、分かってんよな?」


俺のミスだ。こんな風になるなら余裕ぶっこいてないで夏菜んとこに走ってればよかった。

糞野郎、こいつが余計なこと言うから調子狂ったじゃねえか。



「風雅、ごめん・・・」


だいぶ申し訳なさそうな顔で俯く夏菜。莉丘も似たようなもんで泣きそうな顔をしている。

何に対してのごめんだ。謝るのはむしろこっちの方なのにな。


とは言え俺らはまったく動けないからどうしようもない。まだナイフとかを突きつけられてないだけマシか。

冷静ながらも混乱し必死にこの場の打開策を考える。



「お前ら、いい仕事するじゃねえか」


そんなことを言ったSnake総長はにたりと笑って風雅を殴った。抵抗してこないと分かった上で。

春斗から「風雅!」と心配する声が上がる。うちのトップがそんなに柔じゃないって分かってるけど、この状況下ではしょうがない。



「どーすんだ?お前らトップの座を譲るか、あの姫さんを手放すか」


どーする?

そんな質問、愚問だ。風雅は即答した。



「夏菜を渡す気はねえよ」


 

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