LICEnse 中 【完】

hue-05 /各々の策略








――――騎龍倉庫。




「少し休憩したら?」



幹部室と呼ばれる一室に2人の男。パソコンに食いついてる男が1人、それに休憩しろとコーヒーを差し出す男が1人。



「駄目だ、なんも出でこねえ」


そう悔しがるのは騎龍のブレーン。副総長を勤める里中波月。


「そう簡単にはいかないと思ってたけど、ね」


彼にコーヒーを手渡し、自分もコーヒーに口をつける渡貫桂吾。


2人が調べていることは全国トップの正統派、凰華について。

特に最近復帰したらしい総長の氷華、彼女についてだった。



「さすが、としか言いようがねえよ」


伊達に全国トップの名ではない。情報の漏れは一切なく、その厳重なロックには太刀打ちできない。

最早お手上げ状態だ。



2台のノートパソコンを椅子の背に凭れながら睨む。

流し込んだコーヒーの程よい苦味が鈍っていた頭を叩き起こした。



「情報にかかっているロックの多さとその精密度」

「落ち度がまるでねえ」


歯が立たないと認めざるを得ない。


自分の無力さに下唇を噛む。痛みなんて気にならなかった。



この数週間、ずっとそのことだけに集中していた。適材適所、自身の役目はこれだと分かっているからだ。

それなのに。



「これが、差なのかよ」

「・・・現実問題、厳しいよね」



2人して黙る。何を言っていいのか分からなかった。何を言う気にもならない。


沈黙が続いた。


 

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