Rhapsody in Love ~幸せの在処~

第2章 幸せの在処 /15 愛しい想いと体の関係 Ⅰ



 季節は移ろい…、紅葉に彩られたキャンパスに、晩秋の朝の肌寒い風が吹き渡る。

 一般教養の語学の講義が行われるこの教室は、紅葉した木々の葉を通した柔らかい日射しが射し込み、ちょっと詩的な風景に出会える場所だ。
 佐山はそこの窓辺の席を陣取り、その秋の朝の気色を眺めていた。
 …と、そこへ、樫原が顔色を変えて飛び込んでくる。そして、教室中を見渡し佐山の姿を捜し当てると、一目散に駆け寄ってきた。



「晋ちゃん!僕、すっごいこと聞いちゃった!!」


 その一言に思索を遮られた佐山は、怪訝そうな顔をして、綺麗な景色から目を移し樫原を一瞥した。


「お前はいつもそうやって、何でも大騒ぎしたがるからなぁ。」


 それを聞いて、樫原も不愉快そうな顔になる。


「…あ。じゃ、いいよ。晋ちゃんには教えてあげない。」


 樫原はそのまま佐山の隣へと座ったが、へそを曲げたのか、何も言い出そうとしない。
 すると、佐山の方も、何の話題だったのか気になってくる…。樫原の耳に口を寄せて、こう囁いた。


「はたしてお前は、何も言わないで我慢できるかな…?ほら、今だって、俺にそれが言いたくてウズウズしているはずだ…。」


 樫原はしばらく素知らぬ顔をしていたが、その鼻がピクピクと反応してくる。


「ああ!もう!!……さっき、小耳に挟んだんだけどね」


と、結局は根負けして、樫原はその話をヒソヒソと佐山に話し始める。


「あのね、狩野くんなんだけど」


「うん、遼太郎が?」



「………同じゼミの、亀山道子。彼女と付き合ってるんだって…!!」



 樫原の言ってることがイマイチ理解しがたくて、佐山は眼鏡の向こうの涼しげな眼を数回瞬かせた。

 いや、樫原の言っていることは極めて単純明快なのだが、佐山が理解できなかったのは、遼太郎が新しい彼女を作ったその思考だ。
 ……しかも……。






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