Rhapsody in Love ~幸せの在処~

第2章 幸せの在処 /5 切ない心の中


 泣いていたらしいみのりが気になっていた二俣は、みのりを何とかして笑わせようと必死になった。

「みのりちゃん。みのりちゃん。知ってっか?試合をした後は、穴という穴から砂が出てくるんだぜ!」

 二俣のその言葉に、他のラグビー部員たちからドッと笑いが起こった。

「そうそう、特に今日みたいに砂煙にまみれた時なんかは!」
「家に帰っても、最初に風呂に追いやられるし。」
「洗濯機が泥と砂で壊れる…って、言われたこともあるかな。」

 ラグビー部員たちは、自分たちの汚れ自慢を始める。汚れることを嫌がっている風は全くなく、却ってそれを勲章のように思っているみたいだった。

「遼ちゃんだって、あんなに涼しい顔してっけど、家に帰ると出てくるんだぜ。おぞましいものが…!」

 そう言われて、みのりが疑問に首をひねると同時に、遼太郎の方が眉根を寄せて口を開いた。

「何だよ。おぞましいものって?」

「…真っ黒な、鼻くそ!!」

 二俣のその一言に反応して、同じ経験のあるラグビー部員たちの、「ギャハハ…!」という更なる大爆笑で、周りは騒然となった。

 底抜けに明るいラグビー部員たちの中で、みのりは釣られて笑顔になる。
 けれども心に差した影は、そんなことくらいでは拭い去れるものではなかった。
心の底からみのりが笑っていないことに二俣は気が付いて、顔は笑いながら気分は浮かなかった。


 その時、江口から集合の号令がかかり、部員たちは江口を囲んで輪になった。そして江口からの話が終わった後、グラウンドの端に整列して、グラウンドに向かって礼をする。


「先輩!俺らこれからお好み焼きを食いに行こうって言ってるんすけど、一緒にどうですか?」

 礼をした後、荷物のところへ歩く二俣と遼太郎を追いかけてきて、宇津木が声をかけた。

 

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