Honey, so sweet!!①【完結】

突然に、どふん!と飛びついてきた小柄な女の子、ホールスタッフのミユキちゃんが、呆然とたたずむ私にぎゅうぎゅうとしがみつく。


「あいたかったー、あいたかったよ!!しゅーちゃん!!」



……てか、ガンダーラの人って、何で私の事を思い思いの呼び名で呼ぶんだろう…

統一してくれないかな…いや、統一してなんていったら、なんか新しく変な名前付けられそうだから、いいや、今のままで…


「俺も会いたかったー」


といいながら、私ではなくミユキちゃんの背中にすりよってくっついてくるのが、もう一人のホールスタッフ、タケル君…


オーナーはそんなタケル君のアタマをグーで叩きつけしっしっと追い払った後、私に向かい直り、まじめな顔で口を開く。


「マシュー、いきなりで申し訳ないが…お客様も結構待たせちゃってるんだ、だから、そのままの格好でいいから、な?」


といって、店内のステージの上のグランドピアノを指差す。



“お、きょうは、飛び入りさんがひいてくれるの?”


店内のカウンターで、女性と二人連れで飲んでいた気のよさそうなおじさんが、ほほえましそうに笑いながら、こちらに声をかける。



せまい店内から、なんとなくふわっと笑いが起こったところで、カラコロリンと店の入り口のドアが開く音がする。


その、音の方向を思わず反射的に振り返る。



そして私は…
言葉を失う…




「な…つめ、ちゃん…?」




ドアを開けるなり、まるで待ち構えていたかのように、店のど真ん中に立ちすくんでいた私を見て、いつも何事にもあまり動じない彼が、珍しく目を丸くして固まっている。





「……寺田さん…」





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