Honey, so sweet!!①【完結】

彼は更に、呆然とする私を押し退けて、デスクの上で開かれていた数冊のファイルを根こそぎ両腕に抱えると、あっさりと背中を向けて、その場から立ち去った。



「あらあらあら~?
寺田さん、ちょっとカッコいいんじゃないですかぁ~?」



理子ちゃんが一瞬だけ、入力する手を止めて、私に向かってニヤニヤとからかうように笑いかける。



「か…カッコよくない!
あんなセクハラ男!!」



「……つーか。
夏目さん、アレですよ?

夏目さんって、フツーに結構可愛いのに、無駄にガード固いから、ああいう寺田さんみたいなガンガン攻め込んでくれる人逃したら、この先結婚どころか、彼氏も危ういですよ~?

もう結構いい歳ぶっこいてるのに」


「う、そのまばゆい笑顔で人の心をズタズタに切り裂かないで…」



理子ちゃんの言葉に斬りつけられ痛む胸を両手で押さえた、そのときだった。
聞き慣れた、あの無愛想な内線電話の着信音が私の耳にやかましく入り込んでくる。



「お待たせしました、販売企画課夏目ともうし…」


『ねえ、なつめちゃん、
仕事手伝ってあげるかわりに今日のパンツの色教え…』



変態が全てを言い終わる前に私は速攻で受話器を置く。


置いた瞬間、再度、しつこく鳴りひびく、内線の着信音。




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