Honey, so sweet‼ ⑤

会社を出て、最寄り駅から、実家方面の電車に乗り込むため、プラットホームに佇み電車を待つ。

仕事終わりの時間だからだろうか。
解放感と疲労感、双方が入り交じる雑踏を通り抜けた北風が冷たく頬をかすめ、そっけなく私の横を通りすぎていく。


肩がぶるりと自然に震える。



「はあ、なんか、きょうも疲れたなあ……、頭が……」



平日ど真ん中の帰宅ラッシュのこの時間。
大人達が渋い顔でスマホとにらめっこしながら帰りの電車を待つ列に並んで、私はふうと長い息を吐く。




「だーかーらぁ、ちげーよう!

カレー鍋とカレーは全然ちげーっつの!」





白く染まり消えていくそれを全て吐ききる前に、背後から突如キーンと響いたのは、冬の夜空には全くもってミスマッチな陽気にはじけるご機嫌な声。



私はぎょっと驚き、思わず、中途半端に吐きそびれたため息をごくりと飲み込む。

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