足枷が外れない

マイペースでいたいんです /新しい生活





キラキラとネオンが眩しい夜の繁華街。



煩いし、如何わしいし、柄が悪いけど、

僕はこの街を目的もなしにただ歩くのが好きだったし、





生まれ育った街だから、

僕はたしかに、この街ではくつろぐことが出来ていた。









いつから無くなったのだろうか



僕の平穏は、僕の自由は。






「「きゃーーーっ氷室く~んっ」」





街へ出掛けると、僕を呼ぶ声と叫び声が響き渡り、

軽い人だかりができる。







氷室 葵

これが僕の名前なんだけど、




今や、この街で僕はちょっとした有名人だった




芸能人でもなければモデルもやっていない。

特別なことなんて何一つ無い。






ちょっと顔がいいだけ。





それだけなのに、





みんなが僕を知っている。


みんなが僕を見ている。






年を重ねるごとに、

周囲の人々は僕に注目するようになった。





僕は性別的には女だけど男の子の格好をしている。





理由は僕の家が、ヤクザ一家だからだ。


娘がいると知られたらそれは弱味になるし、
僕にとっても暮らしにくいから。




幼少期は、ろくに家の外にも出ず
部屋にこもって生きてきた。







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