キラーチューン

キラーチューン

今日も朝がやってきてしまった。
 

一軸(いちじく)健太郎はとりあえず、上半身だけを起こし、「うーん」と言って両手を伸ばしてみたが、そのまま寝てしまってもいいのではないかと少し思案した。が、それは一分も経たずにカン太郎に却下される。ノソノソと健太郎に近づき、顔中を舐め回したからだ。カン太郎とは、大家には内緒で飼っている子猫のことである。健太郎は忌々しげにカン太郎の頭を撫でると、仕方なく立ち上がった。
 

期末テストが何だというのだ。あんなもの、俺の真価を計れるものとは到底言い難い。講義の際、書き記したノートはテスト持ち込み可だと? その公式カンニングは何なんだ。そんなテストの何の意味があるというのだ。
 

健太郎は思いながらも、台所へ向かい、薬缶に少なめの水を入れ、ガスコンロに火をつけた。こういう朝のために目覚めのコーヒー一杯を作るためだ。
 

テストで真価を知ることはできないと思っている。だが、テストを受けなければ、単位は当然落とすことになる。それは苦労して入学金や学費を用意してくれた両親に申し訳が立たない。

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