偽恋ーにせこいー  1989 中学3年生

1990

 今年はどんな年になるかな。
後、3ヶ月で今後の私が決まる。
運命の分かれ道だ。
その頃、私どうしてるかな?
笑ってる?
泣いてる?
ー別にどっちでも良いか…

いつも通りのお正月。
いつも通りの親戚の集まり。
そして日常の生活が戻ってきた。

3学期の総務は、生徒会が終わったOとN美にした。
N美がOを好きだなんてびっくりした!
Yちゃんは、もうOの事なんとも思ってないみたいだから、今度はN美に協力しようかな。

Aを好きだって子も何人か出てきた。
この3学期はいろいろ動きがあるかもね。

私は風紀委員になった。
自虐的で笑える。
私が風紀だなんて、一番乱してると思うんだけど。

席は外側の窓際になった。
何だかホッとする。
四方八方を人に囲まれてると息苦しくなる。

芸能界では゛中森明菜゛ちゃんが、復帰したニュースが流れてた。
私、明菜ちゃんの事凄いと思う。
そこまで人を好きになれるなんて、ある意味凄い。
私にもそんな人現れるかな…
ーないな。


今回のテスト、なんと!国語50点満点中49点!!
学級はもちろん、学年でも1番だった。
国語の先生が授業中発表したの。
初の快挙!
クラス中から「おぉ!!」って声が上がった。

後は数学と理科がもう少し上がってくれたら、言うことないんだけどね。
C校の学校推薦受けてみようと思う。
一般受験より合格率高そうだし。


 学校が始まって1週間が経った。
昼休み一人で席に着いて、ぼーっと窓から外を見てた。

ガタッと前の椅子を動かす音がしたから、誰かなと思って前を見た。

Mだった。

「…何?」明らかに私に用よね?

M、無言で私の顔をじーっと見てくる。

「ー何!?」心がザワッとした。

「…何かあった?」
私の顔に穴が開くんじゃないかって位見てくる。

「何が?別に何もないけど…何で?」
心がザワザワして落ち着かない。

「お前、今年になってから何か変だから。」
M、私から目を離さない。

「そうかな…気のせいじゃない?
あっ!ほら、受験生だし。」
何故かオタオタする私。
上手に笑えない。

「ー俺で良かったら話聞くよ。
何も出来ないかもしれないけど。」
少し照れたように笑うM。

何でそんなに優しいの?
M、彼女が出来たって聞いたよ。
そんな事してて大丈夫なの?
彼女に誤解されちゃうよ?
あ、そうか。
こんな事で誤解されるような関係じゃないか。
Mは自分の気持ちちゃんと伝えるから、彼女も安心出来るか。

「ありがとう。
けど、本当に何もないから。
M、考え過ぎ!
年下の彼女がヤキモチ妬くよ。」
やっぱり上手に笑えない。

年下ー。
何でMは今頃彼女とか作ったんだろ…
こんな大変な時期に。
もう残り少ない中学生活なのに。

「ーあいつと何かあった?」

Mは何か知ってるのかな!?
何でこうも、私に何かあったって断言して言えるんだろ?

「だから!何もないって!!」
はっ!いけない。
何感情的になってるんだろ、私。

私の声に棘があるのを感じて、近くにいた子達がこっちを見る。

Mが更にじっと私を見てくる。
確信をついたと分かったようだ。

お願い、もう見ないで!
もうこれ以上訊かないで!!
ーと視界が滲む。
ヤバい!
咄嗟に下を向く。
何でこんな時に!
自分で認めたような物じゃん!!

Mがガタッと勢いよく席を立った。
空気がピリッとした。
ヤバい!
Mが怒った!
泣きそうになった顔隠せなかったんだ…
Mの顔なんてとても見れない。

「ーお前にそんな顔させる男なんか、もう止めろよ!!」

Mが怒鳴った声、初めて聞いた。
怒ってる所そこ!?
私が何もないって嘘ついたからじゃなくて?

Mの声が大き過ぎて、今度はクラス全員がこっちを見る。
OとAもこっち見てるのが、視界の端で分かった。

M、勘違いしてる。
Iくんに問題があると思ったんだ。

「…Iくんは悪くない。」
私はそう言うだけで精一杯だった。
私のせいなの。
私が悪いの。

ーと、Mが荒々しく教室を出て行く。
「M!」OとAが後を追う。
Aが瞬間、私を睨みつけた。

最悪。
この1週間、自分では上手くやっているつもりだった。
なるべくIくんの事は考えないようにしていたつもりだった。

「…R。」N美が隣に来た。

周りはもう何事もなかった風に演じてくれてる。
心の中は全然穏やかって感じには見えないけど。

「Rもこの1週間変だったけど、それ見てるMも苦しそうだったよ。
Mの気持ち、分かってるよね?
RはそれでもIくんじゃないとダメなの?」

N美が言ってる事よく分からない。
だってMには彼女がいるじゃん。
ーけど、Mが1週間私を観察してたってのは分かる気がする。
そうじゃなきゃ、あんなに確信ついてこれないと思うし。

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