シンデレラ・スキャンダル 【完】

運命があるなら



クリスマスの定番ソングが流れると、メンバーがステージから降りて、観客の前の通路を走り回る。


赤い袋がメンバーの手元から宙を舞い、客席に落ちていく。


どんどん大きくなる歓声に地面が揺れだす。



「RYU!」



彼の名前が一帯で叫ばれて、彼が近づいてきたことを知らせた。


白い袋を持って、その中から赤い袋を取り出しては観客に向けて投げる。


その度に、声にならないような歓声が起こっていた。


少しずつ近づいて来る彼の姿をただ目で追う。


目の前に彼がいる。


彼の名前を呼ぶ声は喉元まで込みあがってきて、止まってしまう。



「りゅ……」



彼は私の目の前を通り過ぎる瞬間、袋の中から私に一つ手渡した。


反射的に出した掌の上には、黒い帽子。


一瞬の出来事は、なにが起きたのか分からない程、すぐに過ぎ去っていった。

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