シークレット ブレス 【完】

第3幕 /秘密のお昼休み

翌日のお昼休み、私はそっと音楽室のドアを開けて中に入った。


今日でお昼休みの練習を終わりにしようと思う。


加代ちゃんの話を聞いて、決意を新たにした。


決して伊吹先輩狙いで行ってるわけではないにしろ、誰かに勘違いされたら嫌だし、コソコソしてるように見られるかもしれない。


もう影でたたかれるのは嫌だ。



それに、さっこと加代ちゃんに秘密を作ることも、どこかでずっと後ろめたく思っていた。


もし知られたとしても、ふたりは怒ったりしないとは思うけど、内藤さんの時の二の舞はダメだ。



楽器庫に入り、フルートを用意する。


まずは、基礎練。

1音1音長く伸ばす、ロングトーンの練習を始めた。


集中力が途絶えた頃、準備室から伊吹先輩のトランペットの音色が聞こえてきた。


コンクール曲「海の男達の歌」の冒頭、伊吹先輩率いるファーストトランペットと、高田先輩率いるファーストホルンだけで吹く、ゆったりとしたメロディ。


その途中で、フルートが加わる。


……合わせたら怒られるかな?


確実に怒られるよね……。


音は出さずに、伊吹先輩の音に合せて指だけ動かしてみる。



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