シークレット ブレス 【完】

第5幕 /恐怖の呼び出し



15分間の休憩が伝えられ、北田先生は自分の部屋へと姿を消した。


緊迫と苛立ちで満ちていた音楽室が、少しだけ緩む。


それでも私は、楽譜を凝視しながら、変な汗が吹き出るのを止められない。


どうしよう。


なんとかしなくちゃ。


呼吸が浅くなっていることに気が付いて、深呼吸をしてみたものの吐いた息が震えている。



緊張と恐怖で体が強ばっている私に、パートリーダーが優しく微笑んでくれた。


「吉川さん、大丈夫だから落ち着いてね」

「はい……」


その優しさに、涙が出そうになる。



でも、わかってるんだ。


先輩はそう言ってくれるけど、本当のところはもう時間がない。



ちゃんと吹かなきゃ……。

このままじゃ、みんなが2ヶ月間作り上げてきた音楽を、私が台無しにしてしまう。


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