シークレット ブレス 【完】

第1幕 /踏み出す勇気


翌朝、駅で会ったとたんに、さっこと加代ちゃんは合言葉のように「昨日の伊吹先輩やばかったね~~」と連発していた。


結局、伊吹先輩推しに戻るんだ。


楽しそうでいいね~。


二人に生温かい眼差しを向けつつも、私の心もどこか温かい。



「で、どうする!? 入部する!?」


「え~~。どうしようか~」


へっ!?


二人の会話に驚いて、思わず食いつく。


「最初から入部するつもりで見学に行ったんじゃないの?」


「違う違う。伊吹先輩を近くで見たかっただけ!」


「そうそう。吹奏楽部って練習厳しそうだし。バイトもしたいし」


「そうなの!?」


呆れたー。


冷やかしかよー。


「でもさー、入部したら、毎日その伊吹先輩と一緒にいられるんじゃないの~?」


なんて、いたずら心で二人を刺激して遊んでみる。



「あ、そうか! 確かにそうだよね~! やっぱ毎日伊吹先輩を近くで見れるのっていいよね」


「毎日アリーナ席で観覧できるってことだ!」


「たまらんね」


「たまらんわ」


「部活内恋愛最高!」


「最高! 吹奏楽部最高!」


まんまとノってきた二人は、ミーハーな崇拝を復活させた。


単純だな~と眺めて面白がっていた私の脳裏に、ふと昨日の吹奏楽部員たちが過る。



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