一人静【完】

恋心





「ひなたちゃんおーはよ」


「…おはよ。八木くん」



いつものように後ろから抱きしめられ首元に顔を埋められてびっくりして足から力が抜けそうになるが、八木くんがさりげなく支えてくれる


アレから数日経ち、私を呼び出す人達に何て言おうか考えていたのだが
最近は私に飽きたのか呼び出される事がなくなり前のような日常が戻っていた。



「眠いね」


「…そう、だね」



耳元で聞こえる彼の声にドキドキと速まる鼓動


身体が、熱い


八木くんの全てに今、身体の全神経が集中していて
速い鼓動は八木くんに伝わってしまいそうだ




キメの細かい肌も

すっと通った鼻筋も、切れ長な瞳も、形のいい眉も

あたしなんかよりずっと高い身長も

大きめのベージュのカーディガンをまとう骨っぽい腕も

白いシャツから覗く綺麗に浮き出た鎖骨も。



全てに対して、胸が高鳴る



あの日以来、私の中での八木くんの何かが変わったのが分かる



それともう一つ、変わった事。



「…八木くん、そろそろ離れ……」


「相沢さーん!!」



私の言葉を遮るようにわたしの事を呼ぶ声が聞こえたと思ったらキュッキュッキュッとすごいスピードでこちらへ向かってくる足音



「……、」



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