一人静【完】

おまけのおまけ /あなたを







「…私、八木くんの事何も知らない」


「…え?どうしたの急に」



八木くんの言う通り。本当に急にだ


"八木くんの事何も知らない"

そう考えさせられたのは、今朝の事



ーーー





「…やっぱり別れよ」


「…え?」



目の前に立つ、八木くんのいきなりの言葉に頭が真っ白になり

黙る私に構わず彼は私の嫌いな"笑顔"で言葉を続ける



「他に好きな子できたんだよね〜」


「…え、」



何で、そんな事言うの、


嫌だ

この前やっと両想いになれたのに…



「っ、」



手を伸ばそうとするが
なぜか、金縛りにあったみたいに体は動かず声も出ない


八木くんから出てくる言葉は信じたくない言葉。



「この子なんだよね、っていうか。許嫁ってやつ」



いいなずけって…

婚約者って事…?





「初めまして」



八木くんに連れられて隣に立つのは美人で大人っぽい綺麗な女の人。

彼女の肩には八木くんの手が回されていて、八木くんの彼女を見つめる視線は優しくて幸せそうで。





嫌だよっ、



「…っ、」



嫌だ


そんな顔、その子に向けないで…




私を見て、

別れたくなんてない、



どんなに言いたくても声が出ずその場で動けずただ二人を見ているだけ。



「…って事だから、別れよ」





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