Wedding March!【完】

第3章 /近づく距離

「さて、そろそろ片付けて帰るかな。」

食べ終わった食器を持って立ち上がった。

「えっ!?もう帰っちゃうのっ!?」

素っ頓狂な声を出す彰良。

「だって、もう食べ終わったし、することないし。」

「えぇ~・・・まだいいじゃん。まだ2時だよ?」

「もう材料もないし、作るものもないじゃない。」

アタシが当たり前のことを言うと、彰良はものすごく不機嫌な顔をした。

「絵梨子さん・・・ホントに料理しに来ただけなの?」

「それ以外になにがあるの?」

即座に切り返したアタシに喚き始める彰良。

「休みなんだから、ちょっとぐらい遊んでってよっ!冷たいっ!冷たすぎるっ!」

テーブルをバシバシ叩きながら喚く姿は明らかにわざとらしい。

アタシはなんとなくわかってしまった。
彰良は、こうやって喚くとアタシが断らないことを知っててやっている。

「遊ぶって・・・なにするのよ。」

それでも、それを『わざとらしい』の一言で片付けてしまえないのは、アタシが彰良と一緒にいることを嫌じゃないと思っている証拠だろうか。

「DVD観ようよ。友達に面白いの借りたから!」

そう言って出してきたDVDのタイトルは、アクション系でアタシの苦手な類のものじゃなかった。

「ふぅーん。まぁ、これならいいかな。」

「でっしょー?絵梨子さん、恋愛映画とか苦手そうだもんね。」

「なんでわかった?」

「なんとなく。絶対、映画館で寝そうだもん。」

そう言ってクスクス笑う彰良は、アタシのことをよくわかっていると思う。

「せっかくお菓子も買ってきたし、一緒に観よう?」

ほら出た。
いつもの、おねだり顔。

そして、ここで初めて気づく。
スーパーでお菓子を買い込んでいた意味。
絶対に最初から一緒に観ようとしていたに違いない。

「その前に、片付けが先!」

「はぁ~い。」

ピシャリと言ったアタシと、間延びした返事をする彰良には甘さなんてない。
こんな関係のどこにドキドキしてたっていうんだか、と自分に呆れた。

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