Wedding March!【完】
第3章 /好き?
とある平日。
学生課窓口に彰良が来た。
「どうしたの?」
「絵梨子さんの顔見に来たんだよ。」
ニコニコと笑う彰良。
この前、大学内では話しかけないように言っておいたのに、それはないと思う。
「・・・どういうご用件ですか?」
わざと丁寧な言葉に言い直して問いかけてみる。
「あれバレちゃった。今日は和田さんに用事。」
舌をペロッと出しておどける彰良。
アタシが慌てるとでも思ったんだろうけど、その手には引っかかりません。
「和田課長?」
和田さんとはアタシの上司にあたる人である。
課長のデスクの方を見たが、そこには居ない。
「今、席外してるみたいだけど。」
「あれ?今日約束してたんだけどな。」
課長と約束?
なんで彰良が?
「高村君っ!」
窓口の反対側から急ぎ足で近づいてきた和田課長。
「ごめん、ごめん。ちょっと出かけてたもんだから。」
「いえ、今来たところですから。」
彰良と課長のやり取りを見て思う。
なんだ、彰良ってばちゃんと喋れるんじゃん。
「黛さん、応接使うからお茶お願いできるかな。」
「あ、はい。わかりました。」
総合ランキング82位獲得!(2017年02月)