Wedding March!【完】

おまけSS /幸せの重み

彰良と付き合い始めて1カ月ぐらい経った、正月明け。
彰良の家で、夕食後にこたつに入ってテレビを見ながらまったりしているとき、彰良が突然真剣な顔をしはじめた。

「ねぇ、絵梨子さん。」

「んー?」

「このこたつ、やめない?」

「はぁ?」

1月の真冬にこたつを仕舞うバカがどこにいる?
ここからが、こたつの本領発揮する時期ではないか。

「こたつ、仕舞おうよ。」

「なんでよ?まだまだ寒いっていうか、これからが一番寒い季節なのに、なんで仕舞わなきゃいけないのよ。」

ここは彰良の家で、彰良の買ったこたつだから、アタシに権限はないが『仕舞わないか』と聞かれれば答えは『NO』だ。
ほぼ毎日入り浸っている彰良の家は、こたつがあるおかげでより一層居心地のよい空間となっている。
それを仕舞うだなんて、もったいない。

「だって・・・遠いんだもん。」

「は?なにが?」

「絵梨子さんが。」

テレビの前に置かれていた、テーブルとソファを端へ追いやり、リビングのベストな位置に置かれているこのこたつ。
小ぶりな正方形のこたつに対し、テレビ正面がアタシの定位置で、アタシに対して横向きに座る隣が彰良の定位置。

確かにアタシの家よりは広いけど、単身者用のこのマンションに2人でいて、しかもこんな小ぶりなこたつに納まっているのに、遠いってどういうこと?

「これのどこが遠いの?意味がわかんない。」

「だって、こたつに入ってると位置がしっかり決まっちゃってて、絵梨子さんに触れないっ!」

「はぁ?」

「ソファだったら絵梨子さんのすぐ近くに座れたのに、こたつになったらなんか遠くなっちゃたじゃんっ!このこたつ失敗!」

自分で買いたいと言いだしたこたつを失敗という彰良。
それは、アンタが失敗しただけなのではないか?
こたつに罪はない。

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