Wedding March!【完】

おまけSS /カンタン

彰良が大学を卒業してしばらく経った3月下旬。
土曜日の午後、彰良の家でソファに座ってウトウトし始めた頃。
いつも唐突な彰良が、また唐突に言い出した。

「絵梨子さん、引越しようよ。」

しようよ・・・?
引越を誘われているってことか?
引越って誘い合ってするもんでしたっけ?

「・・・どういう意味?」

ウトウト仕掛けていたアタシの脳みそは機能を半分以下に停止させている。
だからこそ、彰良の唐突な攻撃の意味がわからなかった。

「一緒に引越しない?」

「え~?アタシまで引っ越すの?彰良だけじゃなくて?」

「うん、そう。そんで一緒に住むの。」

アタシは思わずこめかみを押さえた。
頭が痛いわけじゃないけど、痛くなるような気がした。
反対に、停止していた脳みそは通常稼動し始めた。

「えーっと。まず、順番間違ってない?」

「え、なにが?」

キョトンとする彰良にやっぱり、頭が痛くなりそうだ。

「まずは、一緒に住むことの同意を得るのが先ではないですか?」

「え、そこ同意いる?」

そこの同意をスルーする気だったらしい。
やっぱり、頭が痛くなってきた。

「高村くん。そこは同意を得るべきではないかしら?アタシの意思は無視ですか?」

「あっ!なにその高村くんって!言い直してよっ!」

アタシが頭痛のあまり、うっかり‘高村くん’と呼んでしまったことに、過剰反応し始めた。
話が脱線してしまうので、大人しく言い直す。

「はいはい。彰良。」

「もうちょっと愛情込めて呼んでほしいなぁ。語尾にハート付く感じで。」

「・・・チッ」

面倒くささに思わず舌打ちをしてしまった。

「あっ!そういうのはダメっ!可愛いのが台無しになるから、絶対ダメっ!」

今度は、アタシの舌打ちについて過剰反応して騒ぎ始めた。
どこまでも面倒なやつだと思う。
そして、そんな彰良と付き合っている自分を奇特な人間だと思った。

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