Wedding March!【完】

第1章 /彼氏と犬

とある週末、瑠宇子・サクラ・アンナと会う。

「乾杯しよっ、乾杯っ!」

テンションの高いアタシが言うと、呆れたように答えるサクラ。

「いや、だから自分で言わないよね?」

「いーの!アタシは自分で言うのっ!だって、やっと掴んだ幸せだよっ!?」

初デートの日から毎日メールをくれる悠介さん。

内容はたいしたことじゃないけど、気にかけてくれているって言うのがうれしい。

「やっと掴んだって、それって結婚決まった人が言うようなセリフだよね?」

アンナがきょとんとした顔で言う。

「そりゃそうだけど、いいの!アタシにはそれぐらい大チャンスが巡ってきたのっ!ハイッ、かんぱぁーいっ!」

無理やり音頭を取って、全員にグラスをぶつける。

「アンタ、彼氏できるといつもテンション高いけど、今回は更にその上いってるよね・・・」

冷ややかに言う瑠宇子の左手薬指にはダイヤの指輪が光っている。

この前まではなかったソレは、世に言う婚約指輪というやつに違いない。

正に幸せの証を持つ瑠宇子から見るとアタシなんて足元にも及ばないと思うが、アタシだって近い将来そうなる可能性が出てきた。

いや、別になんの約束もないし、付き合い始めたばかりだけど、今回ばかりはいつものパターンと違う気がする。

「だって、今回はいつもと絶対違うもん。」

「なにがそんなに違う?」

サクラが少し興味を持ったように聞いてきた。

「よくぞ聞いてくれたっ!」

勢いよくテーブルを叩きながら言ったアタシに、小さな声で「聞かなきゃ良かった」という呟きが聞こえたことは無視しておいた。

「まずっ!今回のアタシは清楚バージョンだからっ!」

「はぁ?」

3人揃って『なに言ってんだ?』という顔する。

「いつもなら、付き合い始めたら一気に盛り上がっちゃって、毎日電話もメールもいっぱいしちゃってたけど、なんと今回はほとんどアタシからはしてないっ!」

「おぉっ!」

小さな歓声が上がる。

「なのに、悠介さんからは毎日メールがくるんだよっ!?すごくないっ!?」

興奮するアタシに、ワインを注ぎながらサクラが言う。

「そりゃ確かにいつもと違うわ。アンタが自分からメールしないってところが、すでに違うね。」

注がれたワインを一気に飲み干した。

0
  • しおりをはさむ
  • 278
  • 696
/ 292ページ
このページを編集する