Wedding March!【完】

第1章 /尽くすタイプ、尽くされるタイプ

翌日、大学を出る前に彰良にメールをした。

昨日、あれから家に帰ってやっと気がついた。
ドサクサに紛れて、連絡先を交換する羽目になったことに。

あんな、約束もしていないのに毎日のように必ず現れるヤツに、連絡先を握られてしまっていいのだろうか?

アタシはちょっぴり身の危険を感じたが、いよいよの時は着信拒否をしてやろうと決めた。

アタシの<今から大学出ます>という、事務的なメールに帰って来た返事は、およそ想像もしていなかった賑やかなメールだった。

<うっわぁ~!絵梨子さんから初メール来ちゃったよ!マジうれしい~!このメール保護して永久保存するっ!三段重のお弁当作って待ってるから、楽しみに帰ってきてね♪>

絵文字満載のカラフルなメールに、今日もあのテンションに付き合わなければいけないのか、と早くもグッタリする。



いつものコンビニが見えてくると、大きな荷物を持って携帯を握りしめている彰良も見えた。

このまま別の道から迂回して逃げてやろうかと本気で思った瞬間、アタシに気付いてブンブンと手を振る彰良。

コンビニまではまだ100メートルはあろうかという距離で、辺りは薄暗くなっているというのに、よくアタシだとわかったもんだ。

彰良は忠誠心だけでなく、嗅覚まで犬並みなのかもしれない。

手をブンブン振り『おかえり~』と叫ぶ彰良のテンションとは真逆のアタシは、彰良に走り寄るでもなければ、手を振り返すでもなく、通常の速度でコンビニへと足を向けた。

あと30メートルぐらいのところまで来ると、いい加減待ちくたびれたとばかりに、彰良の方から駆け寄って来た。

「絵梨子さん、おかえり~!お仕事お疲れ様っ!」

「はい、ただいま。お疲れ様とねぎらってくれるなら、このまま帰してくれないかしらね?」

「またまた、絵梨子さんってばテンション低いぞっ?美味しいお弁当作っておいたから、これで癒されてね~」

アタシのちょっとした嫌味など気にも留めない彰良は、日に日に精神が図太くなってきているような気がする。

「絵梨子さん、見たら絶対吃驚するよ~!楽しみにしててね!」

自分で作ったお弁当に、自分でワクワクしている彰良と一緒にいつもの土手に向かう。

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