女子高校生のぼっちクリスマス。男子を誘ってみるも、見事に玉砕。やけ食いしながら過ごす、クリスマス。

クリスマス

            


口を覆い隠すように、両手を広げてみた。はぁっと息を吹きかけると、白い息のほとんどが横の方に流れていく。本格的な真冬の到来を、白い息と横に流す冷たい風が告げている。

それにしても寒い。両手をこすり合わせてはみたものの、根本的な解決にはならない。  

ただ、ここからだとコンビニは少し遠い。丁度近くに自動販売機があった。思わず缶コーヒーとコーンスープを買い、ズボンの両ポケットに入れてみた。「熱いくらいが丁度いい」なんて、ごまかしを口ずさんでみたものの、お肌から水気が無くなっていくのを実感する。

 夜の静まった公園。乾いた空は澄んでいて、星と白い雲が俺を見ろと主張している。

 今日はクリスマスイヴだ。

早く帰らなきゃいけないのに、何故か今はそんな気分じゃない。

 私は十六歳。女子高生。塾の帰りにちょっと自転車で公園を徘徊するのが趣味。

でも、クリスマスイヴに華の女子高生が、一人で公園を徘徊するなんておかしい。というのが、一般的。そんなのわかっている。

 話を数時間前にさかのぼらせる。

 

 クラスのちょっと気になる男の子にひょんなことから、クリスマスの話題に誘導した。それで次の言葉を発してみたのさ。

「あんたと過ごしてやっても良いのよ!この私が!」

ちょこっと強気に出てみた。だって男ってツンデレに弱いと聞いた。だから、その第一弾のつもりだった。そしたら・・・次に帰ってきた言葉は根も葉も無かった。

「いや俺、友人と鍋パーティやるからな~。だから今日は無理!お前も女子とやりゃあ良いじゃん」

こいつは女子の気持ちを考えていない。私の付きあってあげても良いかなリストから、こいつは一生消えた。


そういえば、家にはおばあちゃんしかいないな。母と弟はスーパー銭湯に行くと言っていたし、父に至っては単身赴任でそもそも家にいない。うーん、ムカツク!

そもそもなに。クリスマスイヴに女子から誘うなんて、男からしたら、凄く贅沢なことなんではなくて?せっかく誘ってやったのに誘いを断るなんてぇ~・・・ムカツク!

 こうなったら、気分だけでも味わってやるわ。今日だけは貯めていたバイト代をはたいてチキンとシャンメリー、それにブッシュ・ド・ノエルでも買ってやる。

「あっ・・・雪!」

無情にも一人きりのホワイトクリスマスとなってしまったのだ。でも、神様が雪をプレゼントしてくれた。さぁて、家に帰ってクリスマスの特番を見ながらケーキをものすごい勢いでむしゃむしゃ食べる。そんでもって、熱い風呂に入ってやる。これが高校生女子の、一人きりのクリスマスイヴ。