WORLD Ⅰ 【完】

WORLD /prologue

高校に入学して早くも半月が過ぎようとしている。

中学からの親友とも同じクラスになり、楽しい高校生活を送っている。

「沙耶、今日図書室よって帰ってもいい?」

「いいよ。本借りるの?」

「ううん。返すの。今日返却期限で」

「なら、すぐだね。」

入学式には圧巻の姿で迎えてくれた桜の木が並ぶ中庭も、今は葉桜の姿に変えている。

中学生の頃からの艶やかな黒髪を靡かせ、切れ長の目を持ちかなり美人で有名だった親友、篠崎沙耶。ここの制服をきちんと着こなし颯爽と新入生の挨拶をする姿がまぶしかった。

ふと、入学式を思い出しながら二人並んで、図書室へ続く廊下を歩く。

私は色素の薄い茶色に近いよく言えば柔らかな、悪く言えば腰のない少し癖のある髪。
何の取り柄もない私の親友で居てくれてる事に本当にうれしく思う。


「そういえば 愛香、バイトするって言ってたのはどうなったの?」

「あれね… パパが海外赴任になったでしょ?ママがもしかしたら着いていくかもって迷ってて。」

「パパさん、いつもの短期じゃないの?」

「そう。いつもなら、長くても数ヶ月で帰ってきてたんだけど、今回は新店舗出して、それが軌道に乗るまで2年位?

帰れないかもって…」

「え~そりゃ ママさん落ち込んでるでしょ。

パパさんとラブラブだもんね。愛香んちは!」

と言われて苦笑いをする。


「まぁ、イギリスにはお姉ちゃんも留学してるしてるしね。」

「イギリスかぁ…遠いね。」

「うん。今、ママは私の為に日本に残ってくれてるから、バイトするなら家に居てあげないと、ママ一人になっちゃうから。…ね。」

3つ上の姉、恋香《レンカ》は今大学生で、留学してる。

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