『南十字星〈サザンクロス〉』Ⅰ 【完】

第2章 (孵化) /14話

中休みに息抜きも兼ねて、予定通り私は店を出た。


向かったお店は以前綺羅さんに連れていって貰った店。

少し大人っぽいかな…と思ったけど、いつも落ち着いてる倉田を思うと、このお店の物でも全然違和感なく感じたから。

値段は既にサーチ済み。

かなり高いとは思うけど…ゴディバのチョコレート。

一粒300円のチョコレートってどんな味がするんだろう。

だけど…






「嘘でしょ…」

目的のお店は街中のデパートの地下の食品コーナーの一角にある…

が…

そこまで近づくことも出来なかった。

日曜日の昼下がりの午後。

女の子達の考えることは一緒。

目的も一緒。

その光景に圧倒されながらもぼうっと見入る。

目をキラキラ輝かせてどれにしようかと迷ってる可愛らしい女の子。

友達ときゃいきゃい言いながら見ている子。

自分の手に持ったものと、隣の人が持っているものを見比べてる子。

『うわ!あの目付きは怖い…』



相手の顔を思い浮かべながらチョコレートを選んでる子は私が見ても可愛らしい。

例えそれがどんな子でも。



でも、少しでも良さそうなものを《物色》している子の目は怖い。

エサを探してるメスの顔をする。



知らなかった…

このお店に買い物に来るお客さんにも色々有るんだな…

店員さんは…毎日こんな光景を見ているんだろう…



ちょっと…

うんざりした気持ちになった。



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