『南十字星〈サザンクロス〉』Ⅰ 【完】

第2章 (孵化) /16話

翌日…



世の中、浮気する人って本当に図太い性格をしていないとやれないものなんだろうなぁ…

と思いながら、今目の前にいる倉田を見ていた。

別に自分が浮気をしたとは思っていないけど、昨日の出来事は、倉田を見る私の胸にチクチク胸を刺すものがあった。



…いつも乗る電車より1本遅らせたはずなのに…



何故か同じ電車、車両に乗っている。

そして…目が会うたびに僅かに俯く私を優しく見詰めていてくれた。



「おはー!」

1本送らせた分だけ七緒達の方が早く駅に着いたようだ。

「待っててくれたの?」

「まぁね」

「何かあった?」

「試合が決まったから」

「試合?」

「そう」

いつものクリクリの目を更にクリクリとさせて。

でも、私には七緒の言いたいことが分からなくて…倉田をみた。

「七緒のレギュラーデビュー戦なんだよ」

「そうなの?」

七緒を見た。

「てへ。やっとね。1年近くかかっちゃったよ」

そう言いながらも嬉しさが隠せない七緒。

「でも、3年が居ないのに、部員20人以上居るなかで5人の中に入ったんだ。凄いことだよ」

倉田が七緒の頭をよしよしと撫でる。




その時…

胸に《チクッ》と痛みが走った。

凄く小さな。

針でつつかれた位の痛み。

小さいけど…

さっきの罪悪感から来る痛みよりは凄くハッキリとした痛みだった。






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