騎士~KNIGHT~ [完] 

映画を見終えその余韻に浸り、溜め息をつきながら映画館の椅子に深く凭れる。





「ハァ…あり得ない。でも…格好いい」





興奮に頬をピンク色に染めて、身を呈してヒロインを守るラストシーンを思い出す。

誰でもこういう映画を観ると、その世界にどっぷり浸り現実を忘れてしまうような一時を過ごした事が有るのではないか。




「愛李沙行くよ」

ぼうっとしている私に、既に立ち上がって呆れたように見下ろす乙葉〈おとは〉に視線を向けると

「又、当分帰ってきそうにないね」

そう苦笑いをしていた。




と、言うのも映画を観た後は余韻に浸り、中々現実の生活に戻れないのが私の癖。

それを知ってる乙葉は許される限り私をその世界に置いといてくれるが、《何時までも》と言うわけにはいかない。







0
  • しおりをはさむ
  • 167
  • 3103
/ 554ページ
このページを編集する