騎士~KNIGHT~ [完] 

第2章 /1話

ーーーーー。






「蘭ーーー!」

どたばたと走る私の向かう先はテラス。

「これ、留めて」

そう言って蘭にチラッと背中をみせる。

ワンピースの背中のボタンが上手く留められなくて。

蘭がテラスで優雅にコーヒーを呑む姿はモデルより素敵でつい見惚れる。

でも、そんな蘭の手を引いて椅子から立たせ蘭に背中を向けた。

蘭は黙って留まりきっていないボタンを留めていく。

留め終わったことを合図するようにポンと頭に手を乗せられ、振り返って

「ありがとう」

と蘭にキスをした。





長いリハビリ生活の末、遠縁の蘭が私を引き取ってくれた。

この港町の街の真ん中に立つお洒落なマンションで暮らし始めて約1年弱。







仕事の事は決して公には出来ないんだと言う蘭に

『絶対に口外しない』

と約束して漸く教えてもらった。

蘭の仕事はゴーストライター。

だけどその分報酬は半端無い額らしくて…

私と蘭はこの高級マンションで優雅な生活をしている。





時々来る蘭の友人の、柊〈しゅう〉って人は半端無い色気を持つ人。

色気…と言うなら蘭の右に出る人はいないけどこの柊もかなりのもの。

今日はその人が来ると事前に連絡が有った。








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