騎士~KNIGHT~ [完] 

カランカラン…

「いらっしゃい」

マスターのテノールの耳に心地良い声が私を迎えてくれ、すぐ正面のカウンターの中からニッコリ微笑むマスターが目に入った。





「今日からよろしくお願いします」

カウンター越しに頭を下げた。

「こちらこそね。お昼の忙しい時だから助かるよ」

と優しく微笑んでくれるマスター。

そこへトレーを持って黒いカフェエプロンをした葵が空いたグラスを持ってきた。

チラッと私を見て

「早く着替えてこいよ」

と低い声で私に言う。

「あ、はい」

葵はわたしより1つ下の18歳。

この春に高校を卒業してここに就職?したらしい。

柊に聞いただけで当人に聞いた訳ではないけど。





葵にははっきり言って嫌われてると思う。

出会ったときから冷たい視線で見られてて、私に対する言葉も怖い。

『アイツは誰にでもそうだから気にしないで』

とマスターは言うけど…。

多分ハーフなんだと思うけど少し癖の入ったブロンドの少し長目の髪に透き通るような綺麗なブラウンの目。

スラッと長身で手足が長い。

体はかなり細目だと思う。

雰囲気が蘭に似ていて初めて見た時は心臓が跳ね上がった。

何をやらしても完璧でスマートにこなす葵に店長は絶大な信頼を置いている。

だから店長が居なくてもこの店は開店しちゃってるし。

春に卒業したばかりの18歳の葵に店任せるって…








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