騎士~KNIGHT~ [完] 

それから薬を手にしたと言う安心からか、夜はそれなりに眠れるようになってきた。

もしくは時間が蘭との事を緩い記憶に変えてくれたのかもしれないけど。

柊が薬を渡してくれてから数日した頃…









「おい」

「はい?」

「これ2番つったろ?」

「あ、ごめん!」





今日は葵と2人の店番。

こうなると私が一人でホールの事をするようになる。

何気に葵とのこの時間は私にとっては苦手の部類に入るものだった。

言葉数が少ないのは蘭で慣れてるけど、葵はそれプラス口が悪い。

必要な言葉は最小限なのに要らないことは1言多いんだよね…

オマケに言い方はキツいし。





カランカラン…

店の扉が開く音に

「いらっしゃいませー」

相手を見るよりも先に大きな声を出す。

それから追いかけるように視線を向けると、そこには大学生だろうか。

綺麗な女の人が2人立ってて、席を見るよりもカウンターの葵に釘付けになっていた。

…葵目当てなのは一目瞭然。

こう言うとき私は

「カウンターに座られますか?」

と、葵の目の前を案内する。

目的がはっきりしてたりある程度の常連になってくると、カウンターに座って葵に話しかけるけど、そうでない場合は大抵…

「い、いえ!あちらの窓際の席を」

と奥の席を希望される。





これが乙女心なんだろう。





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