騎士~KNIGHT~ [完]
第2章 /8話
メニューは各テーブルに置いてある。
お水をトレーに乗せお客さんの元へ行き
「ご注文お決まりになったら声を掛けてください」
と言って一旦席を離れた。
私が離れるととたんに聞こえ始める黄色い声。
葵の話をしているんだろう。
声に色があるのかわからないけど…
私はそのままカウンターにトレーを置いて2人の方へ視線を向けた。
先程入って来たサラリーマン風の男は1人でコーヒーとサンドイッチを食べてる。
新聞を広げながら。
歳は40歳くらいだろうか。
少しくたびれたスーツを着てその横にはハゲかけた革のビジネスバック。
中年でもビシッとしてる人はしてる。
あの纏う空気が違うのは置かれている立場が違うからだろうか。
役職とかそれなりの立場になると必然背筋も伸びるだろうし…
気の持ちようで人はどんな風にも変わる。
それはこのサラリーマンに限らずだろう。
私もそう。
きっと環境も大きく左右するだろうけど、一番大事なのは気の持ちようだと思う。
総合ランキング165位獲得!(2015年10月)
その冷たい目が少しずつ温度をもって自分を見てくれるようになる、あのジリジリする段階が好き。
思いが通じ会うのはもちろん幸せだけど、そうなる過程の一喜一憂がいい。
KAEDE