騎士~KNIGHT~ [完] 

「気が高ぶって眠れないか、もしくは夢を見る可能性が高いので…」





…夢?

何の?





「あぁ…そうですか」

ママが心配そうな顔をして私を見た。

そこで漸く私の異変に気づいたのだろう。

「…愛李沙はね…」

安心させるように優しく私の頭を撫でながら話してくれた。

「朝起きたときに貧血で倒れてそのまま病院に運ばれたのよ」

「…貧血?」

「そうよ。ひどい貧血だった見たいね。《ママの目の前で倒れた》から間違いないわ」

そう言って今にも泣きそうな顔をしてママが私を抱き締めた。





私は結構日常的に貧血を起こして気分が悪くなる。

まして起きてすぐなんて…

1日の記憶が無くて当然だ。

過去、夏場に1度倒れたことも有るから、ママがこの話をしてくれて何も疑うことが無かったから不安はすっかり消え去った。

『そうだったのか』

と…。





私はママから視線を逸らし隣に立っている先生を見上げ

「先生?」

「ん?何かな?」

先生が話を聞こうと屈んで目を覗き込んでくれる

「私、大丈夫ですよ」

と微笑んで見せた。

「そうかい?じゃあ、何かあったらすぐにナースコールしてくれる?」

「はい」

先生はにっこり笑うと私の頭をポンポンと撫でて、看護婦さんと病室を出ていった。





私は幼子ではない。

今はまだ誕生日が来てないから14歳だけど、後1週間もすると高校生になる。





「ママ?」

「なぁに?」

「今日は一緒に居てくれるの?」

「勿論よ」

「…良かった」

「今日は…何も考えずに寝ちゃいなさい。あ、テレビでも見る?今日は水曜日だからあなたのお気に入りのドラマやってるわよ」

「ほんとだ!って…まだ時間早いじゃない」

私は起き上がってふと腕に繋がれた点滴を見上げた。





「これって…必要?」

「ん~何か有ったときに点滴確保しとくとお薬投与しやすいからって。今はただのビタミン剤らしいわよ」

「そう。でも…トイレいきたくなってきた」

「あ、それそのままガラガラと持ち歩けるみたい」

「そっか。怪我人じゃないんだから自分で歩いていっても良いんだよね」

「そうよ。明日には抜けるらしいし、退院もして良いって」

「…よかった」





そして、その言葉通り何事も無く翌日私は退院した。




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