騎士~KNIGHT~ [完] 

第1章 /8話

マンションの中は既に《家》だった。

家具や家電はきちんと設置されていた。

ただ、生活感が無いのはそこに置いてあったのが家具だけだったから。

中身が何もない。

蘭に着いて行った部屋がどんな風になってたかは全く見えてなかったけど、私は部屋の真ん中に置かれた大きなベッドに座らされた。

そして

「飲め」

とペットボトルの水を渡される。

言われた通りに一口飲んだ。





そして差し出された…

白い粒…





思考の止まった私はじっと《それ》を見詰めていた。

動かない私に蘭は急かす訳でもなく、イラつくわけでもなく私を見ていた。





そして…

蘭が動いた。

何が起こったのか…





蘭は私にキスをした。

ただのキスではない。

蘭の舌が私の口の中に入ってきて…

ビクッとする私の頭を左手で押さえ込むように包み込み、右手を体に回す。

ゆっくりと優しく動く舌に動かない思考はさらに麻痺する。





「……んんっ」

その時何かが喉を通って行った。

既に水を飲むことで潤った喉は安易にその何かを受け入れた。

それに気付いたけど…なんとも思わなかった。





漸く離れた蘭の唇。

暖かく柔らかな。

私の潤んだ目が蘭の顔をとらえる。








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