Fight marriage Ⅱ 【完】

「お久しゅうございますね」

「あぁ」

「もしかして…この方が…?」

「妻の茉愛沙だ」

「まぁ!」

目を見開いて、驚くと言うよりも探し物を見付けた時のような嬉しそうな顔をした。





「私はここ、蕗の薹〈ふきのとう〉の女将〈おかみ〉をしておりますの。よろしゅうお願いしますね」

「はい。宜しくお願い致します」

と、頭を下げると、零が

「部屋はあいてますか?」

と言う。

すると、女将は微笑んで

「あの部屋では他の客を受けませんよ」

そう言って私達の前を歩く。

「事前に仰って下さればご用意しておきましたのに」

そう言いながら《月の間》の前で立ち止まりそっと襖に手をかけた。





「急に思い立って」

「漸く…ご紹介頂ける気になってくださったと思ってもよろしいですか?」

「どうだろうか…?」

と零は私を見る。

「?」

この場の空気が読み切れない私は、妻の《フリ》をする時なのか、素のままの関係で居てもいいのか計りかねていた。









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