幸せを知りたくて夢を見た【編集済み】

第一章 /雅貴 Side

その女と出会ったのは、舎弟が拉致してきたことからだった。隣町を治める風上組若頭のオンナ、野田ひかり。


こちらにも響いてくるほど有名なナンバーワンキャバ嬢でずいぶんと肝が据わった女だと、最初は思っていた。ケガを、舎弟がさせたようだからその手当をさせたとき、必死に痛みをこらえて涙を浮かべる姿に、初めて欲しいと思った。


理由は今でもわからない、ただこの女が欲しい、そう強烈に思っただけだ。そこで俺は自ら女の名前を聞いた。そんなことをしたのは初めてかもしれない。言い方は良くないが、俺は顔もいいし権力も金もある。そんなものに惹かれて女が寄ってくる。俺の持っているものに惹かれてまとわりついてくる女どもがいたせいで女には困らなかった。


「組長、彼女を探しに風上組が動き出しました」
 

側近の一人である三上がそっと側に来て小さな声で伝えてくる。俺の目の前にはキングサイズのベッドで眠るあの時よりもずいぶんとやせ細ったひかりがいる。


「もともと、邪魔になってきていた。力を削ぐか潰せ」


「かしこまりました」


一礼して去る三上を見てから、またひかりに向き直る。

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