幸せを知りたくて夢を見た【編集済み】

第一章 /ひかり Side

長い夢を見た。そこはまるで現実のようだった。


私は「わたし」を見ていた。現実となんら遜色ないその世界で「わたし」は私の過去と同じように、クズな父親と生活をし、同じようにキャバ嬢になって、捨てられた。


そして同じようにソープに沈められてそのままAVにまで出された生活だった。誰も助けてくれない地獄のような毎日を送っていた。働いても働いてもギリギリの生活を送って、一生そこから逃げられないのだと、もう悟っていた。


「助けて、もう嫌だ」


そんな声を上げても、下品な笑い声と汚い言葉で私を罵っては蹴ってくるあの男がいる限り無理だった。あの男は「わたし」を殴り、蹴り飛ばし、抵抗の目をすべて摘み取り絶望へと叩き落した。


「……り、ひ…り、ひかり!!」


誰にも呼ばれなくなった名前が聞こえる、光もささない暗い場所に一筋の眩い光が差し込んだ。それはあまりにも眩しすぎて、そしてとても綺麗で触ってはいけないものだとすぐに認識した。芥川龍之介の蜘蛛の糸のように垂らされた一筋のソレを「わたし」は掴むことができなかった。汚い「わたし」も私もその光はあまりにも綺麗すぎて汚してしまいそうで触れない。


「起きろ!!」


「っ!?」


ガクンと大きな衝撃が身体を襲って突如として私は覚醒した。

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