Border Color【完】(旧:碧の陽炎)

正体

走り過ぎたせいなのか、
興奮し過呼吸気味なのか、
頭に靄がかかったようになり、
頭も痺れてきた。


喉がヒクっと鳴る。


息が苦しすぎて、
何かにすがりたかった。



「ミツ・・・・キ・・・」


やっと声を出す。



ミツキは震える手でウィッグに手をかける。


中から栗色の髪がサラリとこぼれ落ちた時、
震えるその手をグッと握りしめた。



「どうして」


悔しそうに、辛そうに吐き出した。



「アオイ。本当に?・・」

震える手を伸ばし
頰に触れようとした時、

ミツキのポケットから携帯が滑り落ち、
カンッと音を立てた。

ミツキはハッと我に帰る。

手は触れる前に止まる。

こちらを一瞥すると、
一度ギュッと目をつぶり顔を上げた。

怒っているような、迷っているような、
複雑な顔をしている。


携帯を拾い、
ポケットから結束バンドを出すと、

わたしの手を後ろに持って行き、手首に巻いた。

キュッと閉められ皮膚が痛んだ。


「ーー・・・っ」


逡巡しているようなゆっくりな動作で、
わたしを担ぎあげる。





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