【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /1話「探しもの」













 








辿り着いた場所は、いま国中で最も栄えている大都市。



家々がキノコの群のように、ごちゃごちゃと並び立っている。



華やかで、騒々しくて、私は今にもめまいがしそうになる。



『これから、どうしよう…。』



あとさき考えず、とにかく必死に故郷を出てきた。



手元にあるのは、少しばかりの賃金と、硬くなったパン、それから……、



長い間使いこなしてきた、命よりも大事な、大剣……。



これは、〝あの人〟からもらった形見だ。



ガラの悪い男「…お前、いいもの持ってるなあ?」



『いいもの……って、何のこと?』



ガラの悪い男「とぼけるんじゃねえよッ!お前が持ってるそのデカい剣のことだろうが!」



『それが、何…。』



ガラの悪い男「よく見たら、服も上等そうなもの着てるじゃねーか。痛い目に遭いたくなけりゃ、全部置いてけクソガキ!」



『……。』


























・・・・・・









ガラの悪い男「………。」



さきほどの男の顔は腐った茄子のように腫れあがり、痛々しい有り様で道にダランと倒れ伏していた。



街の男性「何だ!?人がボロボロになって倒れてるぞ!?」



街の女性「一体どうしたら、こんな酷い姿になるの!?」



『……。』



あのガラの悪い男に手を下したのは言うまでもなく私だが、



私はそのまま涼しい顔でその場を通り過ぎていった。



その直後からだった。



誰かに見られているという、確かな視線を感じた。



私は特に気にせず、後ろを振り返らぬまま知らんぷりをして歩き続けた。



にも関わらず、その視線の主はどこまでも私のあとをついてきているようだった。



さすがにここまでくると何か理由があるのだと、私は暗い路地裏へと入り込んでいった。



すると、その視線の主もあとをついて路地裏へと入り込んできた。



『……。』



私は、そこで初めて後ろを振り返った。



それほど遠くない場所に、頭をローブで覆った、私より背の高い人物が立っていた。



?「尾行なんて真似をして、申し訳ないわね。」



声からすると、少し低めではあるものの、女性のものだった。



どこか落ち着いていて、風格のあるような、そんな声だ。



『……。』



?「あら、だんまりかしら?まあ仕方ないわね、あなたを散々つけて回ったんだもの、警戒されて当たり前よ。」



?「勝手に自己紹介させてもらうわね。私はプライム家の当主、名前は、セラ。」



プライム家の当主、セラ……。



聞いたことがないけれど、そこそこのお金持ちなんだろうか。



セラ「突然だけど、あなたに折り入って頼みがあるの……、」



その瞬間、その女性は私に近寄り腕を掴み、こう言い放った。



セラ「――あなたが欲しいわ。」



『……。』



急に何を言い出すのかと思えば、そんなことか。



セラ「あら?もしかして私、言い方を間違えたのかしら?」



セラ「分かりやすく言うと、そうね……あなたを騎士、護衛として、プライム家に招き入れたいのよ。」



『分かりました。』



セラ「喋った!?あなた喋れるのね!え、というか、そんなよく考えもしないで即答って……あなた、本当にいいの?」



『大丈夫です、問題ありません…。』



セラ「そんな、あっさりと……。」



『明日の生活が、今の私には約束されていないので。』



セラ「それなら大丈夫よ!うちはそこそこの富もあるし、あなた一人くらい一緒に暮らすのに何の問題もないわ!」



『……それじゃあ、ご飯は三食つきますか…?』



セラ「え?変なことを聞くのね、当たり前よ?」



『10時のおやつに3時のおやつ、それから夜食におやつもつきますか…?』



セラ「な……何この生き物、なんて可愛いのかしら!?」



『あの…?』



セラ「ハッ…、何でもないわ!それから、さっきのおやつ?のことだけど、あなたが望むならいくらでも食べていいのよ!」



『…本当ですか?』



セラ「もちろんよ、騎士と護衛といっても、家ではあなたの好きなようにしていいんだから。」



『……セラ様、優しいんですね。』



セラ「優しい?私が?そんなこと、初めて言われたわ……ありがとう。」



しかも、よく見ると…とびっきりの美人でスレンダーだった。













 

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