【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /10話「よろしくな、騎士様」








 
アキ「はあッ!?んなもん姉貴もソイツと仲良くなればいい話だろ!?」



セラ「そんなこと、簡単にできたら苦労しないわよッ!」



アキ「ひぃ~こえっ!誰か助けてくれ~!」



いつもなら面倒で、絶対にしないようなことを、私は……



ケイ『…セラ様。』



セラ「あらっ…なあに、ケイ?」



ケイ『……この人、借ります。』



セラ「えっ…?」



アキ「お前ッ…、」



私は彼の腕を引っ張り、颯爽と食堂を出た。



セラ「え……、えっ…?」



マリエ「ふふ、ケイさんって、結構大胆なんですね♪」



モニカ「従者であるケイ様が、主人であるアキ様を助けた……なんて燃える展開ッ!」



爺や「これは、ケイ様にやられてしまいましたね、セラ様!」



エミリー「格好良いですわ…。」



全員「「「えっ?」」」



エミリー「ワタクシ、ケイ様に……惚れてしまいましたわ…。」



全員「「「」」」















その頃、ケイとアキは二階の廊下を歩いていた。



足早になりアキの前を進むケイを、アキが追うという形で。



アキ「……なあ!」



長い沈黙に耐えられなくなったのか、アキが最初に口を開いた。



ケイは特にそれに答える様子もなく、颯爽とアキの前を歩くだけだった。



アキ「…ッ、なあって!」



アキが何度話しかけても、ケイはぼんやりとした目つきで前だけを向いている。



アキはしばらくし、ケイの前に通り道を塞ぐような形で立ち尽くした。



190㎝もある身長なため、ケイの通り道を塞ぐことなどアキにとっては至極簡単なことだった。



アキ「へへっ、これで逃げらんねーだろ♪」



アキは満足そうに、罪もなく無邪気にニコニコと微笑んでいる。



それでも、ケイはぼんやりと無気力な表情を変えなかった。



アキ「あれ?なーんだ、また無反応か…。」



分かりやすく肩を落として、ケイの前をとぼとぼと歩く。



かと思えばケイの方を振り返り、次のようなことを言う。



アキ「俺の部屋、寄ってくだろ?」



その言葉に、ケイは頑なに口を閉じたまま頷いた。



アキ「よっし、じゃあ決まりだな♪」



ご機嫌顔で言うアキ。



アキの部屋は相変わらず暗かったが、月明りが出ていたため、窓から青白い光が差し込んでいる。



アキ「………。」



アキはケイを部屋に入れ、部屋の真ん中で立ち止まり急に黙りこくった。



ケイ『?』



ケイが不思議そうに頭の上にはてなマークを浮かべていると……



アキ「気づいてたなら何でもっと早く言わなかったんだよ!?」



鼻が触れそうな距離で、唐突にそんなことを言う。



ケイは相変わらずぼんやりとした目でアキを見つめている。



ケイ『……何が。』



アキ「何って、お前がこの家の騎士になってたってことだよ!言おうと思えばいつでも言えただろ!?」



ケイ『……怒ってる?』



ケイはおっとりした口調で言った。注意して聞いていないと聞き取れないような、か細い声だった。



アキ「……悪りい、怒ってるわけじゃねぇんだ…。」



すると、アキはとたんにバツが悪そうな顔つきになった。



アキ「夕方お前が帰る時、次は、いつ会えんのかな…って思った。でも、久々に食堂に降りてきてみたら、最初は気付かなかったけど…お前がいて……、」



伏し目がちに、遠慮しながらポツポツと語っていた。



アキの話を、ケイは静かに聞いた。



アキ「本気で焦ったのと、すっげえ驚いた…。でも、それ以上に……俺、嬉しかったんだ…。」



アキは照れながら微笑んだ。さっきよりもほんの少し、深い微笑みだった。



アキ「って、悪りい!急にこんなこと言われても戸惑うよな!?ま、まあこんな形で再会することになったけどよ!これから、よろしくな?騎士様?」



ケイ『……よ…』



アキ「しっかし、まさかお前が騎士様だったなんてな♪こんなに小さくて可愛い騎士様もいるもんだな♪」



ケイが「よろしく」と言おうとしたところを、アキが見事に遮った。



しかも、心底悪気のなさそうな顔で言うので、ケイは余計に腹が立った。



ケイ『……。』



アキ「ん?何か、すっげえ嫌そうな顔してっけど…何でだ?」



ケイ『認めない。』



アキ「えっ?」



ケイ『主人だなんて、絶対認めない。』



アキ「……。」



ケイは確かにそうハッキリキッパリと告げた。



アキはぽかんとした顔で口を開けている。










 

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