【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /11話「今はそれでもいいよ」










 
ケイはこの人物が主人などと、本気で認めたくなかったのだろう。



ケイ『アンタが、主人だなんて…絶対、認めない…。』



アキ「……。」



アキはぽかんと口を開けたまま黙りこくっている。



(…何か言ったらどうなのか。)



すると、今度は優しい口元にニッと笑みを浮かばせて言う。



アキ「……いいよ、今はそれでも♪」



そんな軽々しい口調に、プライム家長男としての威厳はないのか、



仮にも従者である存在にあんなことを言われ怒らないのか、



ケイはそんなことばかり考えていた。



アキ「つーか、こんな男が主人だって急に言われても納得いくはずないだろ!当然!……だからさ、お前がその気になるまで、俺は待つよ。ずっとな…。」



するととたんに、アキは何か思いついたような声を上げ、



アキ「…あ、でも!いつかはちゃーんと、俺のこと受け入れてくれたら、すっげえ嬉しい♪」



あんなことを言われても笑顔で返してしまうアキを見て、ケイは居たたまれなくなっていた。



そこには、身に余るような扱いを受けたことへの後ろめたさがあった。



ケイ『……絶対に認めないし、受け入れる気もない。』



そんな気持ちとは裏腹に、冷めた言葉しか出てこない。



アキ「へへ、言ったな?その言葉、よ~く覚えておくからな♪」



今度は、悪戯そうな笑顔を浮かべている。



ケイは、この人間の笑顔は、特別苦手だと思った。



何の罪もなく、無邪気に笑う、その顔が。



アキ「あ、そうだ!俺の部屋に来たからには、ゲーム、やってくだろ?」



普段なら、他人からの誘いは面倒くさいという理由で断ってきた。



ケイ『どうせ私以外に、遊ぶ相手…いないくせに。』



何故か、その時のケイはアキの誘いは断れなかった。



アキ「そうそう!お前以外に遊ぶ相手いねえからさ、俺に友達ができるまでは、しばらく付き合ってくれるか?」



そんな提案にも、断る気なんて一切しなかった。



ケイ『…仕方ないから、可哀想なあなたの遊び相手になってあげる。』



二人は、夜が更けるまでゲームをして遊ぶのをやめなかった。





















〝ケイ……私から逃げられるとでも思ったのですか?〟



深い意識の中で、ふと懐かしい人物の声がした。



〝こうなった以上、あなたには仕置きが待ち構えているということを、肝に銘じておきなさい……〟



〝……私から逃れられるなんて思わないことです〟













 






ケイは汗だくになり目覚めた。



ケイが辺りを見回すと、アキの部屋だった。



昨夜、二人でゲームをしながら寝てしまったことにようやく気が付いた。



アキはというと、大きめの広いソファでまだ眠っていた。



アキの姿を確認し、さきほどのことが夢だと分かった途端、ケイは急に安心してくるように思えた。



ケイ『……。』



恐ろしいことを思い出し、ケイはその場から身動きが取れなくなった。



すると、部屋の中でケイの方に向かって歩いてくる足音がした。



アキ「何か物音がしたと思ったら、起きてたんだなっ。」



ケイ『……。』



アキ「ん?って、どうしたんだよ?何か、様子変だぞ?」



ケイ『…何でも、ない。』



アキ「?それならいいけどよっ。」



ケイはいつも通り平静を装い、感情が表情に出ないように気をつけた。



アキ「んじゃ、一緒に朝食食いに行こうぜ♪プライム家の朝食は絶品だからなっ。」



ケイ『…何であなたなんかと、』



アキ「いいからいいから♪」



アキに半ば強引に腕を引っ張られ、ケイは食堂まで連れていかれた。







爺や「おや、アキ様!珍しくお早……ほああッ!?」



マリエ「あら?爺やさん、一体どうし………あらあら♪」



二人が驚くのも無理はないだろう、アキとケイが手を繋いで降りてきたのだから。



……本当はアキに腕を引っ張られてきただけなのだが。



モニカ「も、もしかして!お二人は朝まで一緒に…!?」



モニカというメイドは目を輝かせて聞いてくる。



エミリー「アキ様それどういうことですの!?出会ったばかりのケイ様に昨夜何をされたんですの!?」



エミリーというメイドはアキに噛み付くような剣幕で聞いている。



アキ「さあ、どうだろうなー♪ちなみに、何したと思う?」



アキはそれに対し、悪戯な笑顔で返している。



エミリー「な…!まさかとは思いますけれど、不埒なことは何もしていないんですわよねえ!?」



アキ「不埒?」








 

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