【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /15話「赤く染まるのは私の肩と、彼の頬」















 
ケイはそのまま男へと、容赦ない膝蹴りを何発も叩き込んだ。



ケイがその男を蹴り上げる度、男の悲痛な叫びがその場で響いた。



まるで、ナイフで左肩を負傷していることなど関係ないかのような蹴りだった。



男2「何なんだ、あの少女の強さは…まるで……。」










〝――バケモノ。〟









男3「今日はもういい!金は諦めて撤収だ!」



男たちはケイの見た目からは想像もつかない強さに恐怖さえ感じ、すぐさまその場を去って行った。



















ケイ『ハァ、ハァ…』



男たちが立ち去り閑散としたその場に、ケイの小さな息づかいが聞こえていて…



その呼吸に合わせて、赤い血で染まった痛々しい左肩が揺れている。



アキ「…お前、大丈夫かッ!?」



すぐにアキが駆け寄ってきた。



ケイは問われていることは分かっていたが、それに答える余裕がなかったのか、ただ黙るだけだった。



ただでさえ刺された左肩は赤黒い血で染まり、とても見てはいられない痛々しさだ。



それなのに、ケイは何事もなかったかのように涼しい顔をしている。



アキの顔は恐怖で青ざめ、手は震えていた。



そんなアキに、ふいに抱き上げられた。



ケイ『え…』



アキ「頼む…、屋敷に着くまで、我慢してくれッ…。」



アキはケイを抱えた状態で屋敷まで死に物狂いで走った。


























その頃、プライム家の屋敷では使用人たちがちょうど二人の話をしていた。



モニカ「アキ様とケイちゃん、帰りが遅いけど、心配だなあ…。」



爺や「確かに、もう夕食時ですからな!」



エミリー「何だか、ものすごく嫌な予感がしますわ!」



マリエ「嫌な予感ですか?」



エミリー「ケイ様!まさか、アキ様に手籠めにされているのではありませんこと!?」



マリエ「それは考えすぎですよ?きっと今頃、お二人で手を繋ぎながら…♪」



その時、屋敷の玄関が勢いよく開いた。



エミリー「な!?何事ですの!?」



アキ「ハァ、ハァ…!」



爺や「アキ様!?こ、これは一体…!?」



アキ「状況は後で説明する…それより、ケイが…ッ、」



モニカ「嘘ッ…、ケイちゃん!?」



全員ケイの姿を見て、驚かずにはいられなかった。



爺や「今、医務室までお運びしましょう…。処置は、それからです。」



アキ「ああ…。」



その二人によってケイは医務室まで運ばれ、処置を受けることとなった。



エミリー「ケイ、様…。」



マリエ「エミリー……。…大丈夫、ケイさんなら、きっと大丈夫です。」























……あれから何時間が経ったか、ケイには分からなかった。



視界には天井と暗い室内が映り、夜だということに気付いた。



起き上がると、刺された左肩に痛みが走った。



傷は結構深いようだ、包帯が何重にも巻かれている。



あんなことがあった後だと言うのに、空腹で仕方がなかった。



私とはそういう人間なのだとケイは改めて思った。



とにかく何か口にしたくて、部屋を出た。



その時分かったが、その部屋は医務室だったようだ。



長い廊下を力なく、とぼとぼと歩いた。



アキ「え……お前………。」



後ろから、見つかると面倒な人物の声がして振り返る。



アキ「もう大丈夫なのか!?てか、安静にしてないとダメだろ!」



ほら、言わんこっちゃない。



彼は私をすぐさま医務室に戻そうとした。



ケイ『あそこ(医務室)、嫌だ。いたくない。』



アキ「は?んなこと言ったってダメなの!お前は重症なんだから…」



ケイ『嫌。……あなたの、部屋がいい。』



アキ「…。」



彼の目は驚きの色を見せている。



そうしてしばらく黙りこくったと思えば、



アキ「なん、だよ…。んなこと、急に言われっと……勘違い、しそうになるだろ…。」



心なしか、少し顔に赤みが差しているようにも見えた。



ケイ『……。』



そんな彼の顔をまじまじと見つめると、それはますます赤くなっていった。



アキ「…ッ、もう分かった!分かったっつの!だから、そんなに見つめんな!は、恥ずかしっつのッ…。」



顔を赤らませ、必死にそう抗議する彼。



そんな姿を見て、私は何だか、もっと意地悪をしたいなどという気持ちになった。













 

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