【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /19話「陽だまりのような」(※イラストあり)










 
彼はぽかんとした顔のまま、「え?」と聞き返した。



アキ「今、なんて……」



ケイ『二度も言わない…。』



アキ「もしかして、今、恥ずかしいって……」



私は黙りこくり、俯いた。



アキ「ケイ、お前……」



何を言われるのだろうか。とっさに少し身構えた。



アキ「恥ずかしいなんて感情あったのか!?」



思わぬことを言われ、思わず拍子抜けしてしまった。



ケイ『私を何だと…。』



アキ「いや!だってお前って、いっつもぼんやりしてるっつーか、無表情だし!何考えてるか読めねえんだもん!」



確かに、言われてみればその通りで。



顔は人形のように表情がなく、いつも素知らぬ風だった。



本当に私は、喜怒哀楽が表に出ない人間なのだ。



アキ「でも、だからってなあ……俺はお前を、諦めるわけじゃあないぞ?お前が俺に心を開いてくれるまで、お前のそばを離れねえからな。」



なぜ、彼はこんなにも諦めが悪いのだろう。



ケイ『……じゃあ、ずっと私の態度が変わらなかったら?』



アキ「そ、それは困るな…。」



そう言って、深く考え込んだ表情をする。



アキ「でも、俺こう見えて諦め悪りいからッ!一歩も退かねえけど!」



…彼は、きっとこうだ。容易にモノに屈しない、どんな困難に



直面してもたゆまない強靭さがある。



無神経なくらい押しが強くて、嫌味を言われても気づかない図太さ。



すべて、私にはない――…



ケイ『……。』



アキ「ん…?なーんだ、まただんまりか?」



私が話さなくとも、気にせず陽だまりのような笑顔を向けてくれる。













彼といる空間に、少しばかり居心地の良さを覚えつつある。



どうも、私はこの人の笑顔には、特別弱いようだ。



アキ「…ゲッ!もうこんな時間かよ!」



彼がそう言ったのでふと時計を見ると、時刻は深夜2時を回っていた。



アキ「悪りい!ケイの寝る時間まで遅くさせちまって!」



ケイ『別に、私は…』



アキ「あ、いいこと思いついた!もう俺と一緒に寝ようぜ♪」



何年も一緒に過ごしている妹にでも言うような、軽々しい口ぶりだった。




ケイ『……いいけど。』



アキ「えっ?……。」



言い出しっぺのくせに、彼はぽかんとして唐突に黙り込んだ。



ケイ『…何?』



アキ「い、いや!何でもねえ!よ、よしッ、そうと決まれば、とっとと寝ようぜ♪」



すると、いつもの調子に戻り、自分のベッドへと歩みを進めている。



アキ「ん?なーに突っ立ってんだよっ。早くこっち来い♪」



そう言い、私にいつもの笑顔で手招きをしている。



まるで、自分の飼い猫をベッドに招き入れるような気軽さだった。



ケイ『……。』



私は手招きされるままに彼のベッドへ歩みを進める。



アキ「よっし、いい子いい子♪」



彼の大きなゴツゴツとした手が伸びてきて、私の頭に触れた。



そのまま、穏やかな目つきで私の髪を撫でた。



まるでこわれものを扱うような、優しい手つきで。



子ども扱いされているのだろうか、そうだとしたら少し不満だった。



昔から幼児体型のせいで、周りからは子どもに見られることが多かった。



私は、見た目は子どもでも、彼と同じ17歳なのだ。



アキ「……左肩、やっぱり…痛々しいな。」



切なげに苦笑をもらし、そう言った。



ケイ『その話は……。』



…もうしないで、と言いたかった。



その言葉は、喉まで出かかったものの、そのまま声になることはなかった。



アキ「やっぱり、腕のいい医者に診せるべきだ…。明日、プライム家のかかりつけ医に診てもらおう?その方が、傷も綺麗に…」



違う、そうじゃない……これは、これでいいのだ。



言いたい、医者なんていらないのだと。



でも、肝心な言葉が出てこない。



アキ「まあ、このことは明日にして、寝るかっ。な♪」



ケイ『医者には……行かない。』



アキ「…行かない?プライム家のかかりつけ医じゃ不満だったか…?なんなら、お前の行きたいところの医者でも…」



ケイ『違う、そうじゃない。』



アキ「じゃあ、何で…」



ケイ『………この傷は、』


























ケイ『アキオを守った…証……だから、』










 
 

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