【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /20話「大事な証」












 
ケイ『アキオを守った…大事な証……だから、』



二人の間に沈黙が生じ、夜の静けさの中に溶けていく。



彼はというと、狐につままれたような顔でぽかんとしている。



いつまで経ってもそんな様子で口を開かないため、とうとう



私の方が沈黙に耐えられず、口を割った。



ケイ『…何か言って。』



アキ「……。」



すると、ベッドに腰かけていた状態の彼が急にベッドに倒れ込んだ。



木材のようにどさっとした倒れ方だった。



ケイ『……ちょっと。』



声をかけても、彼はベッドに倒れたまま何の反応もない。



それをおかしく思い、体をゆすってみたが頭が揺れるだけだった。



彼のいつもの無邪気な目は、閉ざされている。



190㎝もある体は、まるで力が抜けたようだった。



そこで、私はひとつの考えが頭に浮かんだ。



まさか・・・・・・



あの世とこの世の境にいるのではないだろうか。



私はすぐに、こうしてはいられないと思った。



ケイ『……ッ、アキオ…』



彼の名前を呼ぶが、一向に返事はない。



彼の身体をもう一度揺すり、今度はさきほどよりも大きな声で名前を呼んだ。



ケイ『アキ、オ……、アキオ…!』









ケイ『……何で。私、こんなに……必死に、なって……。』



私は、彼と一緒にいたことで、とうとうバカになったのだろうか。



アキ「ん……。」



すると、声が上がり彼の目が開いた。



ケイ『ア、キオ……。』



再び彼の名前を呼んだ。



アキ「俺……?」



ケイ『生き返った…の?』



アキ「い、生き返った!?」



どう違うのだろうか。



アキ「お、俺はただ!ケイがあんなこと言うから、つい……嬉しさのあまり気を失って…」



あんなこと…



〝アキオを守った…大事な証……だから〟



アキ「つーか、さりげなく名前も呼んだろッ!?」



嬉しさのあまり気を失う人物なんて、本当にいたのか。



ケイ『…さあ。』



私はしれっとした涼しい顔を続けた。



アキ「さあって、俺はしかとこの耳で聞いたぞ!?」



そんな感じで大声を上げていた彼は、今度は急に大人しい口調で、



アキ「俺が、どれだけ嬉しかったか……お前に、分かるか?」



普段の彼とは打って変わって、切なげでひたむきな、熱い眼差しだった。



本当に、気を失うほど嬉しかったのだろうか。



そう思うと、何だか胸がきゅっと締まるように感じた。



アキ「まあ、ケイには分からねえだろうな♪」



すると、ふいにいつもの調子に戻り、屈託のない笑みを浮かべた。



アキ「あ、なあ!ひとつ聞いていいか?」



ケイ『……ナニ。』



何だろう。そんなふうに言われると、内心少し身構えてしまう自分がいる。



アキ「俺が気を失ってる間も、俺のこと心配して、ずっと名前呼んでくれてたんだよな?」



この男・・・本当に気を失っていたのか問いたいと思った。



だが、私は平然を装い、「さあ、知らない。」とだけ答えた。



アキ「あっれー?おっかしーなー…朦朧とした意識の中だったけど、確かに必死そうに俺の名前を呼ぶケイの声がー…」



ケイ『……。』



アキ「で、どうなんだ?」



その意地悪そうな笑みに、心底腹が立った。



苛立つ気持ちを表に出さないように、私はあっさりとした口調で、



『知らない。自分に都合のいい夢でも見ていたんじゃない。』



とだけ答えた。



アキ「あ、そうか!あれは夢だったのか~。それにしても、やけに幸せな夢だったな~。」



わざとそういうふうに言っているのか、それとも本気でそう思っているのか。



どちらにも取れるが真相は分からなかった。



アキ「あ、そういえば…」



ケイ『今度はナニ。』



アキ「ケイ、俺のこと〝アキオ〟って呼んでたけど……何でだ?俺の名前って、〝アキ〟だけど…」



自分のことを「アキ」ではなく「アキオ」と呼んでいたことに疑問を感じているようだ。



ケイ『あなたなんか、アキオで充分。』



アキ「え~……つーか、なんかのあだ名なのか?」



本当は、彼の名前の「アキ・オット・プライム」を文字って「アキオ」と呼んでいるのだが…



その説明はしないことにした。



ケイ『知らなくていい。』



アキ「え~何だよ~気になるじゃんかよ!」



ケイ『……駄々っ子?』











 

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