【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /22話「分かりたい」【アキside】









 
(アキside)






室内はまだ薄暗くはあるものの、カーテンの少しの隙間から



差し込む光で、早朝だということが分かった。



目をこすり、よく見開くと、視界にはケイの寝顔が飛び込んできた。



すぐに息遣いの聞こえる距離で、ケイがすーすーと寝息を立てている。



胎児のような態勢で手足を丸めている。



寝顔は子どものようにあどけなく、思わず笑みがこぼれる。



そんなケイを見ているだけで俺の心は満ち足り、ほっこりした。



早朝で起きるにはまだ早いだろうと思い、二度寝をしようと試みた。



眠りにつくまで時間がかかりそうだったので、俺は、最初にケイと



出会った頃のことを思い返していた。









・・・・・・








森の木によじ登り、降りられなくなった俺を見つけたのは、



まだ幼い少女だった。



そして、これしか方法がないからと、「受け止めるから飛び降りろ」と言う。



正気では笑えないような冗談だと思った。



そんなに細くて小さな身体で、俺のような背の高い大人を受け止めるだなんて。



少女は、何を考えているのか分からないような無表情っぷりだった。



ぼんやりとした目つきで俺のいる木の上を見上げ、真剣みがない。



宙に浮いたような眼差しで、遥か遠くの場所を見据えているようだった。



(…くそッ、もうどうにでもなっちまえ!死んだっていい!)



(いや、生きてたらむしろラッキーだけど!)



俺は半ばやけくそな気持ちで、木の上から飛び降りた。



完全に目をつぶっていた。



目を開けると、視界には少女のあどけない顔があった。



「…だから、言った。」



少女はそうぽつりと呟き、俺をしっかりと受け止めていたのだ。



この小さな体の、一体どこにそんな力があるのか、見当もつかない。



見れば見るほど、こんなにもあどけなく、子どものようだというのに……



俺がその少女の正体を知るのは、それよりも後だった。















「俺の家に遊びに来ないか」という提案を申し立て、



家までの少しの距離を二人で歩いていた。



その間にも、少女はまるで冬眠したうさぎのように静かに黙り、



石のような沈黙を押し通していた。



先ほど出会った時と変わらず、ぼんやりと無気力な表情で。



(え~っと……俺と一緒にいるのがつまんねえのか…?)



ここまで表情を変えない少女をついじっと見つめて、そのポーカーフェイスっぷりに感心していた。



一向に瞬きをしない、感情のない目…。



俺はすぐに感情が表に出てしまう、言わば開けっ広げな性格なため



自分とはまったく正反対だと思った。



何もない表情からは、何を考えているのかさっぱり分からない。



(…でも、分かりたい。コイツのこと、分かってやりたい。)



(長い時間がかかってもいい……ただ、一緒にいたい。)



そんな気持ちが顕著に現れてきた。

















ケイと最初に出会った日、遊んだ後に、ケイが帰る時……



明日にでもすぐに会いたい、と思った。



少しでも離れている時間が、自分でも不思議と嫌だった。



ケイが去っていった後、夕食の席につき、俺はとんでもない事実を知ることになる……。







セラ「この子が、今日から我がプライム家に、騎士・護衛として来た……ケイよ。」



「………騎士……護衛…?」


姉貴からそう紹介され、俺が視線をやった先には……、



アキ「あーーーッ!?」



紛れもない、自分が一番会いたいと思っていた人物だった。



再会できたことで、心から懇々と溢れ出る、一筋の熱い思い。



ケイ『……。』



思わず驚いたが、内心嬉しいと感じている自分とは裏腹に、



少女は何事もなかったかのように涼しい顔で食事を続けている。



それが少し寂しくも感じたが、他のヤツらにバレたくないのだろう、と察知した。
















それから、数日一緒に過ごしてみて思うことは……



小さい体をしてよく食べるあたりは、胃袋がブラックホールに



繋がっているのではないかと思うが(笑)



一緒にいてもあまり喋らなかったり、黙っているのは、



今までそれが普通だったからで、別に俺と一緒にいてつまらない



というわけではないことも、漠然と分かってきた。



それから……









 
 




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