【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /23話「可愛いばっかり」【アキside】















【アキside】





 
ケイは、ぽつりと呟いたり、ゆったりした口調が可愛くて。



190㎝の俺からしたら、思わず「可愛い」と口にしてしまうくらい小さくて。



ぼんやりとした無表情な顔も、ぼーっとしてるところも。



声を聞いていると、自然とこっちの笑みが零れるくらい。



………可愛い。



(…可愛いばっかりだな。)



ケイを見ていると、兄が妹を想うような親和の気持ちが溢れてくる。



家族同然に、本当の妹にように、甘やかしたくなる。



(でも、俺みたいなのが兄じゃあ、アイツ絶対嫌がるな♪)







ふと、視線を横で寝ているケイの方へ向けた。



ケイ『……。』



何も知らない子どものような、あどけない寝顔がある。



アキ「ふ、可愛い……なんて言ったら、お前は怒るだろうな…。」



まだ起きることのない、ケイの小さな頭をそっと撫でた。



アキ「…これぐらいなら、許してくれるだろ?」



そう問いかけるが、ケイの瞳は閉じられ健康的な寝息が聞こえてくるだけだった。



兄が妹を想うように、身内のような愛情を感じた。



そこに、ケイに対しての恋愛感情のようなものは存在しない。



ただ、俺たち二人の間には、もっと複雑で言いがたい関係が、



美しく広がっていると言いたい。











ケイ『…ん、うー……』



何かのスイッチを入れられたように、急にケイが起きた。



とろんと眠気の残った声で、ぼーっとして焦点が定まらない様子だ。



アキ「よお♪よく眠れたか?」



明るく話しかけるも、ケイは心底眠たそうにボーッとしている。



身体がベッドに張り付いたように、なかなか起き上がる様子もない。



アキ「……ケイちゃーん?」



ふざけて軽々しくちゃん付けで呼んでみた。



ケイ『朝から…私を呼ぶ、鬱陶しい声が………スゥ…。』



そう言い残し、再び眠りについてしまった。



よっぽど疲れているのか、もしくは朝が弱いのだろうか。



その時、ドアをコンコンと鳴らす音と同時に、「失礼いたします」という声が廊下から聞こえてきた。



アキ「…えっ!?」



爺や「失礼いたします、アキ様。本日のお着換えのご用意をお持ちしましたぞ。」



いつもは必要ないと言っているため滅多に部屋には来ない爺やが、



今日に限っては何故か俺の部屋に……。



アキ「あ、ああー!ありがとな、爺や!」



きっと挙動不審になっていたに違いないが、ケイが俺のベッドで



すやすやと寝ているという事実だけは隠し通したかった。



爺や「アキ様……。」



すると、爺やが思いつめたような顔でこちらを見つめてきたため、



思わず不安にぎくりとした。



アキ「ど、どうしたあ?」



爺や「この爺や……本日も、アキ様が格好良いので何よりです!」



アキ「あ…えっ?」



何を言われるのか内心冷や冷やしていたが、何だ、そんなことか、と胸を撫で下ろした。



………そこまではよかった。














ケイ『ん、う………アキ…オ……。』



ベッドの方から、寝言なんだろうか、ケイの俺を呼ぶ声がした。



その瞬間、冷や汗が滝のように一気に流れ出るようだった。



爺や「…はて?今、なんとも可愛らしいお声が、どこからともなく聞こえたような…?」



(ケイ、こんな時に…!いや、寝言で俺の名前を呼ぶなんて、本当はすっげえ可愛いんだけど…。でも、今だけはダメだったのに…!)



アキ「え?!き、気のせいじゃないか!?」



爺やは、しばらく考え込んだ素振りを見せたあとに……



爺や「……そうでございますな!この爺や、どうも年のせいか耳の調子が悪うございまして!」



アキ「いや、爺やなんてまだまだ若いだろ~!」



上手く誤魔化せたと思った、その矢先……








ケイ『……あれ、爺や…?』



ケイがいつの間にベッドから俺たちのいる方まで移動していた。



しかも、本人は無自覚なんだろうが、可愛らしく目をこすりながら。



アキ「え、えっとー……爺や、これは…」



爺や「ホアアアアアアアアアッッ!?ケイ様アアアアアアアアアアアアアッ!?」



案の定、爺やはたまげて叫び声を上げた。



爺や「これはこれはッ!本日はおめでとうございますッ!まさか、アキ様とケイ様がこのように床を共にされる関係だとは知らずッ!」



何だか、ケイが起きてきたことで壮大な誤解を招いてしまっているようだ。










 

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