【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /26話「蹴りと拳」

 










 
?「最近どうも、俺は退屈していたんだ。せいぜい楽しませろ。」



アキ「本当、お前ってそういうヤツだよな~。」



あんな蹴りを受けて、アキオは悠長なことを言っている。



?「今日こそ、頑丈な身体のお前を、どれくらい蹴れば死ぬのか……試してやるよ。」



そう言い、アキオに2発目の蹴りを入れようと襲い掛かった。



?「…!」



ケイ『……。』



アキオの前に出て、黒髪の男性の蹴りを受け止めようとしたが、



私のことは蹴ろうとはしなかった。



?「何だ貴様……そこをどけ。」



そう私を睨むが、一向に退く気はなかった。



アキ「馬鹿、ケイやめろ!お前、左肩がまだ…!」



ケイ『関係ない…これが私の、仕事だから。』



?「何の話をしている?俺を無視して話を進めるなど、いい度胸だな?」



黒髪の男性はかなり立腹のようだった。



アキ「クロ、俺のことはいくら蹴ってもいいから…ケイだけは、」



クロ「ケイ…?貴様、ケイと言うのか?」



私は黙り込んだまま彼を見つめるだけだった。



クロ「俺を無視するとは、威勢だけはいいようだな?貴様、腰に大剣を差しているが、剣の使い手か?」



ケイ『…そうだけど。』



クロ「見たところ、貴様はまだ子どものようだ。それに、その華奢な身体ではとても俺の相手ができるようには見えないが。」



ケイ『…今まで闘ってきた中で。相手が男だろうが、負けたことはない。』



すると、クロはしばらく黙り込み、



クロ「……嘘をついている者の目ではないな。いいだろう、俺を楽しませてくれるのなら、たとえ女だろうと…蹴り殺すまでだ。」



アキ「ダメだッ!行くな!ケイ、そいつは――」



ケイ『……。』



アキオの声には耳を傾けず、クロに先導されるまま庭へ向かった。












・・・・・・



広大な庭で、私たち二人は勝負をすることになった。



その頃、屋敷の二階からは逃げたと思っていた使用人たちが



その様子を心配そうに見つめていた。



エミリー「ケイ様、どうして…!」



爺や「ケイ様!あのお方に敵うはずなどないのです!どうか!」



マリエ「…果たして、そうでしょうか?」



モニカ「え?マリエさん?」



マリエ「この勝負、私はケイさんが勝つと思います♪」








戦闘が始まり、最初にしかけてきたのはクロの方だった。



遠い場所にいたのに消え、消えたと思うと目の前に現れて



蹴りを放つ。叩きこむような凄まじい蹴りだ。



クロ「……俺の蹴りを受け止めるヤツは、初めてだ。」



ケイ『…。』



すかさずケイは至近距離で右足の蹴りを放ったが、クロは



それを寸前のところでひらりと交わした。



クロ「…当たっていたら、俺は飛ばされてただろうな。」



ケイ『…。』



クロ「その剣は使わないのか?まさか、俺が剣を使うほどの相手ではないというわけではあるまいな?」



ケイ『…さあ。』



クロ「このッ!」



クロの蹴りをまたも交わし、その後も続く蹴りをいとも簡単にケイは交わした。



クロ「俺の蹴りがこんなに当たらないヤツは初めてだ……しかも女で、子どもだというのに…。」



ケイ『私、17歳…。』



クロ「は…嘘だろう?俺の1つ下だと?」



そこで、クロが18であることが判明した。



クロが動揺している様子だったので、ケイは隙をついて思い切り右腕を振るった。



目の前のクロの左腕が折れる音がした。



クロ「ぐッ…!あぁッ!」



彼の整った顔立ちが激痛のために歪んだ。








モニカ「嘘…ケイちゃん、あのクロ様を押して…。」



エミリー「すごい、ですわ…ケイ様…。」



爺や「ややッ!?ケイ様がこれほどまでにお強いとは…!」



マリエ「もう、勝敗は見えているようですね。」









ケイが拳を振るう鈍い音に呼応して、クロの悲痛な声が漏れる。



クロ「あッ!…ぐッ…!」



木陰の下で、クロは木にもたれかかった状態で、その腹部にはケイの容赦ない拳が何度も当たっている。



ケイ『……さすがに、疲れた。』



ケイはそんな気の抜けたことを呟き、クロと一緒に木にもたれかかった。



クロ「お前…容赦ないな……」



ケイ『…手加減したら、怒るでしょ。』



クロ「…なぜ、剣を使わない。そんなもの使わなくても、勝てるからか……」



ケイ『そっちは蹴りしか使わないのに、こっちが剣まで使ったら、分が悪い…。』


  
クロ「!……そう、か。」






 

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