【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /30話「お前、やっぱり」




 
 

ケイ『アキオは確かに弱いし、馬鹿だけど……あなたとは違う。アナタみたいに、傲慢で偉そうな態度を取ったりは、絶対しない。たとえ、自分が高い身分にあっても。』



ケイは抑揚のない声でぽつぽつと呟いた。



(何だよ、それ――。)



クロはベッドの上で身動きもできないまま、胸を締め付けられるような思いを感じていた。



二人きりの部屋は、ひっそりと閑散としていた。



クロ「……何だ、結局お前――。」



ケイ『…ナニ。』



クロ「……何でもない。」



ケイ『そう。…私はこれで。』



パタン…



クロ「はあ…。」



溜息をひとつ吐いて、ベッドにドサッと寝転がった。



クロ「痛えッ…!くそ、あの女騎士にやられた傷か…」



容赦のない女だった、本当に。



最初に見た時は、ぼんやりとしていて何を考えているか分からない、という印象を受けた。



でも、戦闘の時はやけに生き生きとした顔をしていた。



クロ『初めてだ、あんな女は……。』







・・・・・・








アキ「あ、ケイ!大丈夫だったか?」



ケイ『うん。』



アキ「クロに何かされてないか、すっげー心配してた…。」



ケイ『…別に、何もされてないけど。』



アキ「本当に?何もされてねえか…?」



ケイ『しつこい。』



アキ「なんだ、お前が大丈夫なら安心した。」



そう言って、太陽のような微笑みを私に向けた。






・・・・・・










ガチャッ



クロ「……誰かと思えば、女騎士か。」



ケイはクロの部屋に夕食を運びにきていた。



ケイ『夕食持ってきた。使用人の皆は、あなたを怖がって近寄ろうとしないから…。』



クロ「そうか。悪いな。」



ケイ『……それで、いいの?』



クロ「嫌われることなど、昔から慣れている。」



ケイ『…ふーん。』



クロ「誰からも好かれるなんて不可能だ。すべての者から好かれようとして嘘の自分を愛されるよりも、本当の自分を貫いて、本当の自分を嫌われた方がいい。」



ケイ『自分に正直に生きるってこと…?』



クロ「そういうことだな。」



ケイ『…じゃあ、はい。』



ケイは皿の上のおかずを箸でつかみ、クロの口元へ近づけた。



クロ「……これは、何の真似だ?」



ケイ『手、骨折して使えないでしょ。』



クロ「なッ、むぐ…ッ!」



ケイは容赦なく次々と食べ物をクロの口に運ぶ。



クロ「お、おい女騎士…!こんなハイペースで食えるわけ…!」



ケイ『…手が疲れるから、さっさと食べて。』



クロ「……ふん、上等だ、女騎士。」












ケイ『……完、食。』



クロ「はあ…何だか、どっと疲れた。」



ケイ『…文句言わないで。』



クロ「だいたい、自分でも食べられたのに、余計なお世話だ。」



ケイ『じゃあ、私はこれで。』



クロ「あ、おい待っ!って、痛っ…」



ケイ『……やっぱり、闘う時…手加減するんだった。』



クロ「お前に拳で突かれた腹部が、まだ痛む…」



ケイ『そういえば、お風呂は…?』



クロ「……。」



ケイ『……。』


 

 
 





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