【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /5話 「お客人は…」









 


……間違いない。間違いなく、この男の足はあの屋敷の方へと向かっている。



もし、仮にこの男があのプライム家の人間だとするなら……。



執事は爺や一人で、メイドはあの三人だけだった。



もしかすると、プライム家の主人だったりするのだろうか。



いやしかし、プライム家当主はセラ様だと聞いているし……。



私はすぐさまこの男を謎の人物と認定した。



?「着いたぞ~。ここが俺の家♪」



ああ……やっぱり、この屋敷の人物だったのか、と思った。



ケイ『……。』



私はプライム家に初めて来る人間を装って、知らないフリをした。



今日この屋敷の騎士、護衛として招かれたことを言わずに。



?「ビックリして言葉も出ないか…まあそうだよな、こんなデカい家見せられたら普通驚くよな!」



何度見ても慣れそうにないですけど。



?「ただいまー♪」



そう言って玄関を開けた彼を、爺やが出迎えた。



私はというと、この男の背後に隠れて見えなくなっていた。



爺や「アキ様、おかえりなさいませ。本日は珍しく出掛けられていたのですかな?」



この男は、爺やに「アキ様」と呼ばれている。



全然見えないが、お金持ちだったのかと思った。



それが、まるでお金持ちを思わせる風格も、威厳もない。



どちらかと言えば庶民的というか、気楽な人間のように思える。



アキ「まあ、ちょっとな。俺にしては珍しいかもな、いっつも部屋に籠もりっきりだし♪」



呑気にそんなことを言っている。



アキ「あ!そういえば、ちょっと今日は客連れてきてんだけどさ~、ここじゃなんだし、俺の部屋に通してもいいか?」



爺や「お客様ですとォッ!?そのお方はどちらにいますかな!?」



アキ「あ~…実はさっきから俺の後ろにいるんだけど、恥ずかしいみたいだから勘弁してやってくれな♪」



爺や「なるほど!爺や、承知いたしましたッ!では後ほど、アキ様のお部屋にティーとスイーツをお持ちいたしますゆえッ!」



アキ「だってさ♪俺たちは部屋に行ってようぜ?」



爺や「どうぞ、ごゆっくりと!ワタクシは厨房に行って参ります!」



アキ「おう、ありがとうな♪」



ケイ『……。』



すると、背の高い彼は、私の目線まで腰を下ろしてきた。



アキ「わりいな、驚かせちまったか?」



まあ、アンタが金持ち坊ちゃんだったってことに一番驚いてはいるが。



アキ「お前、全然表情変わんねえのなあ……おもしれえ♪」



確かに私は感情を表情に出すことはないが、一体それの何が面白いのか分からない。



アキ「ああ、俺の部屋は2階なんだ!しっかりついてこいよ?やたら広いからな…。」



アキ「メイドとか、他の人間ともすれ違うかもしれねえけど、不安だったら俺の後ろに隠れてていいからな?」



その言葉に頷き、彼の後ろをついていった。



広い階段を上り、長い廊下を歩いていると、メイドの…



確か、「マリエさん」だと思う。あちらからゆっくりと歩いてくる。



マリエ「あら、アキ様、珍しく出掛けられていたんですか?」



アキ「あ、マリエさん。まあちょっと!」



マリエ「?アキ様の後ろにいらっしゃるのは、もしや……、あらあら♪」



アキ「えっ、何!?」



マリエさんに、私だと気付かれたのだろうか。



マリエ「アキ様にも、ついにお心に決めた女性がいらしたんですね♪」



アキ「……はっ?」



(ちょ……)



何か大きな誤解をされてしまったようだ。



マリエ「ですが、背中に隠さなくても大丈夫ですよ♪アキ様の大事な女性を勝手に覗き見たりはしませんので♪」



アキ「え、いやこれは!」



マリエ「私はこれ以上お二人のお邪魔にならぬよう、掃除に戻りますね♪ああ、お二人の将来が楽しみ…ですね♪」



マリエさんはそう言い残し、来た道を引き返していった。



アキ「何か、すげえ誤解された…?」



ケイ『…。』



アキ「あ、さっきの人はこの屋敷のメイドのマリエさんな!言ってたことは特に気にしなくていいから、な?」



ケイ『…ん。』



私はポツリと頷き返事をした。



アキ「よし!……あ、俺の部屋はここな♪」



そう言って男は部屋のドアを開けたが、中はカーテンが閉め切ってあって薄暗かった。



アキ「あ、悪い!俺ってどうも明るいとこって苦手でさ…。カーテンとか、昼間でもつい閉め切っちまうんだけど、大丈夫か?」



私は、問題ないと答えた。









 

  • しおりをはさむ
  • 3
  • 0
/ 64ページ
このページを編集する